JICA協力隊員リレーエッセイ=ブラジル各地から日系社会を伝える(12)=指導するより教えられる日々=パラナ州クリチバ市 喜藤大輝(きとうたいき)

一番左が喜藤さん(本人提供)

 パラナ州クリチバ市にあるピニェイロス文化体育協会で野球隊員として活動している喜藤大輝です。クリチバ市は人口約200万人を有するブラジル南部最大の都市で、ニッケイ人口もサンパウロ市に次ぐ約3万人と言われています。
 ピニェイロス文化体育協会は1953年に地域親睦、日本文化継承、青少年育成などを目的として設立され、野球を中心としたスポーツ活動の他、移民祭り・春祭り・花祭りなどの行事企画・運営も手がけています。
 配属先の選手は現在6歳から18歳の選手が約60名在籍しており、かつてはニッケイ人で協会が設立されましたが、現在は半数ほどとなり、非日系人も多数在籍しています。練習は火曜日から日曜日まで、七つのカテゴリーが週3日程度行っています。
 私が主に担当しているカテゴリーはPré infantil(9〜10歳)ですが、平日の練習では他のカテゴリーも指導する機会があり、たくさんの選手たちとの関わりがあります。技術や礼儀を伝えることはもちろんですが、何よりも野球を楽しむことを大切にし、日々の活動に全力で取り組んでいます。

カンジャなどの差し入れ(本人提供)

 さて、私自身の任期も残り約1年となりました。毎日やる気に満ちた日々を過ごしていますが、数カ月前にブラジルへ渡航して初めての高熱を発症しました。数日間は何もできず、ベッドで寝たきりの日々が続きました。そんな中、配属先の方々が色々と手助けをしてくれました。病院から自宅までの送迎や、差し入れを自宅まで届けてくれる心遣い、さらにはブラジルの伝統料理であるカンジャ(お粥)を作ってくれました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
 協力隊を目指し日本にいる時から、私は配属先に何かを提供することを考えていましたが、ブラジルに来てからは逆にたくさんのものをいただく日々が続いています。配属先の方々だけでなく、ブラジルの人々の温かさに触れ、これは自分の成長や学びに繋がるものであると気づくことができました。そして、この温かさを忘れず、日本に帰国してからも人々との交流を大切にし続けたいと思っています。
 これからも、配属先の方々からはまだまだ多くの愛情をいただくと思います。私もその愛情に対して恩返しができるよう精一杯頑張り、配属先の活動が今後もさらに発展していけるよう、残りの期間も全力で取り組んでいきたいと思います。

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