連邦政府=財政均衡法の目標を変更=最賃は1502レアルに

連邦政府が15日に提出した連邦予算基本法案(PLDO)では、財政均衡法で定めた25年の基礎的財政収支は国内総生産(GDP)の0・5%の黒字という目標が赤字ゼロに変更され、財政政策への信頼感が揺らいだと同日付G1サイトなど(1)(2)(3)(4)が報じた。
ハダジ財相はこの日、PLDOに関する記者会見前に、基礎的財政収支の目標値と最賃に関する情報が事前に漏れ、メディアでも報じられていたとして、赤字ゼロ化を来年に持ち越すことと最低賃金額を明らかにした。
財政均衡法では、連邦政府の公会計管理にあたり、二つの原則がある。一つ目は、当該年の歳出増は前年の歳入増の70%までで、公式インフレ率を割り引いた実質ベースで0・6~2・5%増とすること。二つ目は基礎的財政収支の結果に関する目標で、GDPに対し上下0・25%ポイントの許容範囲が設定されている。PLDOによると、当初は基礎的財政収支の赤字ゼロだった今年の目標はGDPの0・25%の赤字に、GDPの0・5%の黒字だった25年の目標は赤字ゼロとなる。その後の目標は26年が0・25%の黒字、27年が0・5%の黒字、28年が1%の黒字となる。
また、来年度の最賃は1502レアルとなる見込みであることも発表(15日付アジェンシア・ブラジル(5)も参照)。この額は、23年のGDP成長率の2・9%と今年11月までの12カ月間の全国消費者物価指数(INPC)推定値の3・25%の和に若干上乗せした6・39%の調整となっている。
最賃は26年1582レ、27年1676レ、28年1772レとの見られているが、実際の数字はPLDOの審議の中で見直される。
企画省によると、最賃が1レ上がると歳出は3・7億レ増える。最賃は年金や失業保険などの社会福祉関連支出の基本であるためで、社会保障省の収入は631億レ、支出は667億レの見込みだ。
15日付アジェンシア・ブラジル(6)によると、PLDOでは24年のGDP成長率を2・2%、25年を2・8%と想定。広範囲消費者物価指数(IPCA)の想定値は今年3・5%、25年3・1%、26~28年3%だ。
15日付G1サイト(7)によると、来年のPLDOは経費削減が盛り込またのも特徴で、国立社会保障院(INSS)関連の詐欺防止用の登録見直し費と通貨政策委員会が採用した農業活動保証プログラム(Proagro)の経費が計93億レアル削減される予定だ。
政府が昨年、公共支出削減の可能性を示唆し始めるのが遅れ、歳入増加に向けた措置を提案・承認していた時期に批判された、行政改革や社会保障改革などの課題は未解決のままだ。給与調整を求める公務員のスト入り回避のために約束した段階的な調整などによる義務的支出増が今後の歳出をどの位圧迫するかは未知数で、未払金の繰り越し減も不可欠だ。
15日付G1サイト(8)によると、基礎的財政収支の赤字ゼロ化持ち越しも含めた財相発言が15日の株式指数や為替の動きにも影響を与えた後、カンポス・ネット中銀総裁は、市場は政府よりも厳しい財政数字の見方をしており、「政権が変わるたびに、財政アンカーは透明性を失い、信頼性を失う。これは金融政策のコストを高くする。理想は目標を変えないことだ」と、赤字ゼロ化を来年に持ち越すことを批判した。