ベネズエラ=野党指導者逮捕で波紋=米諸国反発もブラジル沈黙

カラカスで取材に応じるマリア・コリーナ・マチャド氏(2023年10月24日)(21日付CNNブラジルの記事の一部)
カラカスで取材に応じるマリア・コリーナ・マチャド氏(2023年10月24日)(21日付CNNブラジルの記事の一部)

 【既報関連】南米ベネズエラ大統領選が7月28日に迫る中、マドゥーロ大統領の主要な対立候補とされていた野党指導者のマリア・コリーナ・マチャド氏が率いるベンテ・ベネズエラ党のメンバーが20日に逮捕されたことを受け、翌日、南米諸国が一斉に反応した。アルゼンチンとウルグアイは逮捕を非難し、パラグアイとコロンビアは懸念を表明したが、ブラジルはダンマリを決め込んでいると、21日付CNNブラジル(1)が報じた。
 ベネズエラのタレク・ウィリアム・サアビ検事総長は20日、ベンテ・ベネズエラ党の指導者たちは国内での暴力を助長する陰謀と計画の疑惑に関与していたとし、同政党のコーディネーターのヘンリー・アルビアレス氏と政治秘書のディグノラ・ヘルナンデス氏が逮捕され、さらに7人の支持者に対して逮捕令状が出されたことを明らかにした。
 この発表に対し、ウルグアイは今回の出来事は「ベネズエラの政治情勢が徐々に悪化していることを裏付けるものであり、同国政府によるバルバドス協定離反が決定的となった」と述べた。
 バルバドス協定とは、昨年10月にノルウェーの仲介で、ベネズエラ政府と野党が大統領選の実施条件を定めた合意である。
 ウルグアイ政府はまた、「我々はこれらの意図的な行動を非難し、国家機構を使って政権反対派の人権を踏みにじる行為に対して懸念と連帯を表明する」と述べ、「政治的な理由で投獄されたすべての人々の即時釈放を求める、国際的な民主主義共同体の呼びかけに賛同する」と付け加えた。
 アルゼンチンも同様に、この状況を「厳しく」非難し、政党指導者に対する逮捕命令を「完全に拒否する」と表明した。「アルゼンチンはベネズエラ政府に対し、投獄された指導者たちを速やかに釈放し、野党代表の恣意的な逮捕をやめるよう要求する」と声明で述べた。
 また、最近の出来事は民主主義の精神に反し、新しい政治指導者の出現を危うくするものであるとも強調した。
 アルゼンチン外務省はまた、21日にジュネーブの国連人権理事会で行われたベネズエラに関する独立調査団の発表に言及し、同国における人権侵害の「再開」に対する警告がなされたことを想起した。
 パラグアイは、アルビアレス氏とヘルナンデス氏の「恣意的な逮捕を遺憾に思う」とし、「投獄された指導者の速やかな釈放と同政党メンバーへの政治的迫害の終結を求める声に加わる」と述べた。
 左派のグスタボ・ペトロ大統領が率いるコロンビアも、「ベネズエラで起きている最近の出来事が、同国の全政治勢力が参加できる選挙実施という目標に何らかの影響を与える可能性について懸念する」と表明した。
 野党指導者の逮捕を受けて、反対派指導者らは緊急記者会見を開き、この日は「汚名の日」として歴史に残るだろうと批判。「政権がすべての悪を露呈した日だ」とも述べた。
 マチャド氏は、国際社会からの「善意以上のもの」を期待していると強調し、マドゥーロ元大統領が「権力を掌握」すれば、約500万人のベネズエラ国民が国を離れるだろうと警告していた。同氏は野党側の大統領候補に選ばれたが、同国最高裁により大統領選への出馬資格をはく奪されている。
 ブラジル外務省もCNNの取材を受けたが、今のところ、マチャド氏を支持する指導者たちの新たな逮捕については何もコメントしていない。

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