ドラゴンフルーツ初飲料開発=保存料なしで32%果汁

ピタヤを使った健康的な清涼飲料水(8日付ア・オーラの記事の一部)
ピタヤを使った健康的な清涼飲料水(8日付ア・オーラの記事の一部)

 リオ・グランデ・ド・スル州首都ポルトアレグレから西側に広がる近郊ヴァーレ・ド・タクアリ地域のセリオ市で、地元生産者がドラゴンフルーツ(ポルトガル語「ピタヤ」)をベースにした清涼飲料水を国内で初めて商業化することに成功し、地域経済活性化に貢献を始めた。生産者グループはこの果実が秘める可能性に注目し、工場規模での生産投資を通じ、家族農業による生産者に広く利益をもたらしていると10日付G1サイトなど(1)(2)が報じている。
 中南米原産のサボテン科の果実であるピタヤは、ビタミンCとオメガ3が豊富な健康食品として注目を集めており、この果実を使ったジャムやゼリー、カップケーキ、ビール、化粧品などの商品が生産されている。
 砂糖や保存料を加えず、成分に32%果汁を使用したこの清涼飲料水は、2021年の見本市で発表され、今年から販売が開始された。現在の賞味期限は60日だが、4カ月に延ばす研究も進められているという。
 この清涼飲料水は同地域の果実の適応性と栽培技術によって生み出された。「ピタヤはここでは新しい果物。市場も分からず売れるかどうかも不明だったが、最初から工業的な生産を計画した」と農家アルネスト・ファヴァレット氏は説明する。
 ピタヤと白ブドウで作られたこの飲料は、サンレオポルドにあるヴァーレ・ド・リオ・ドス・シノス大学の健康食品技術研究所と共同で生産され、州首都圏イヴォチ市の工場で缶に充填される。
 セリオ市がピタヤ栽培に投資し始めたのは2017年で、現在は年間120トンを収穫している。
 モイセス・デ・フレイタス市長によれば、ピタヤに力を入れるのは地元経済を活性化させるためだ。「地域に革新的な技術をもたらし、地元の農家が経済的に成功するために新しい作物栽培に取り込むことを奨励している」と言う。教育機関でも注目されており、「学校給食にピタヤを導入しているが、農村部での生産を奨励し、生産者の仕事に価値を見出し、生産物を高く評価させることにつながる」と話す。
 良好な条件下では1ヘクタールで年間20トンの果実を収穫することが可能で、1キロあたり平均10レアル(約300円)で売れる。農家ニロ・ペドロ・アリオッティ氏は「12〜4月の夏季には何度も花が咲き、1年に複数回の収穫ができる」と言う。ピタヤ果樹園への投資により、一家の年収は15%増加したという。
 農学者フランシス・コペッティ氏は「セリオで栽培を奨励する主な理由は、生産者の収入を多様化することです。すでに酪農や養鶏など他の事業も行っており、果樹園は彼らの収入にプラスになる」と説明する。
 フレイタス市長は来年の主な目標は、自治体内でも清涼飲料水製造を開始し、雇用と収入を創出する機会を提供することだと強調する。現在、世界初のピタヤスパークリングワインの開発に向けた新プロジェクトにも取り組んでおり、自治体の成長に期待が高まっている。

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