JICA=覚書「未来への団結」署名=日系社会との対等な関係強化

(左から)清水総領事と署名を行った税田援協会長と石川文協会長と市川県連会長と江口所長

 JICAブラジル事務所(江口雅之所長)は2月29日、ブラジル日本文化福祉協会(文協)、サンパウロ日伯援護協会(援協)、ブラジル日本都道府県人会連合会が日系社会を代表する形で連携協力覚書(MOU)「未来への団結」の署名式を聖市の文協貴賓室で行った。式典には在聖総領事館の清水享総領事をはじめJICA、日系団体関係者ら約60人が出席した。

 江口所長は今回署名締結を行う日系3団体への感謝を述べ、これまでのJICAと日系社会との関わりや活動報告、そして協定内容について話した。
 JICAがブラジル日系社会と覚書を交わすのは今回が初めて。覚書は、日系社会と日本との人的交流を更に活性化し、ブラジルでの日本理解の促進や日本文化の普及とともに日系社会と日本が未来に向けて対等に応援し合い、双方の経済・社会が活性化するような連携関係を戦略的に強化することを目的として締結された。
 覚書に基づく新たな交流プログラム「未来への団結(Unidos pelo Futuro)」は、ブラジル日系団体による日本への視察派遣や日本から当地への有識者などの招へい、日系団体による日本企業の製品活用や発信、全伯日系団体による日本への理解促進等を進める。
 日系3団体及びJICAはこれを通じて、日系人の多様なネットワーキングの推進、ブラジル日本移民史料館と横浜海外移住資料館、他国の日系資料館との連携推進、日系社会研究の促進、在日ブラジル人コミュニティ支援の促進を強化するという。
 石川レナト文協会長は「世代が変わり、日本とブラジルの関係性は変わりつつあるが、友好の大事さに変わりはありません。そんな中、JICAでは研修制度を設けてくれているなど感謝しています」と語った。
 市川利雄県連会長は「健康面では病院への機械導入、ボランティア隊員を通じた日本語教育の支援、あらゆる支援に感謝しています。また、5世やブラジル人による日系社会の継承にも期待しています」と話した。
 税田パウロ清七援協会長は、江口所長をはじめJICAブラジル事務所や日系団体、JICA本部の宮崎桂理事にも感謝を述べ「今回の署名を光栄に思います」と話した。

 清水総領事は「覚書締結はJICAがやってきたことの集大成であり、将来に向けてのプラットフォームとなる非常に大きな意義があることだと思います。若者の人材交流、日本語教育が益々重要になってきている昨今、包括的な協力の枠組みを与える内容にもなっています。多くの人にこの内容を知ってもらい、日本とブラジル、日系社会の繋がり強化に繋がって欲しいです」と話した。
 挨拶後、石川文協会長長、市川県連会長、税田援協会長が覚書に署名を行った。
 本紙取材に江口所長は、「資金的な支援だけでなく、人材交流を強化し、お互いの理解を一層深め、より良い関係を築いていければと思います。ブラジル日系社会の役割は、ビジネスや研究分野などでも非常に大きいです。日本が日系社会を支援することはブラジルに支援することに繋がります」と語った。

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