ブラジルの大学受験=長野育ちの日系4世の挑戦(9)=騒がしい教室と最高の個別指導

サンパウロ文化センターの中にある図書館

 予備校の授業中はおしゃべりをする生徒が多く、お世辞にも「勉強環境として良い」と言えるものではなかった。
 先生や勉強意欲の高い生徒が、授業中にしゃべっている人を注意すると一時的に静かになる。だが、すぐにまたざわつきだす。
 騒がしいのは夜間コースだからかと思い、一時は昼型のコースに変えようとした。だが、昼型のコースに通っている友人に授業の様子を聞いたところ、「どのコースも一緒だよ。時間帯を変えても無駄」と言われ落胆。結局夜間コースに通い続けた。
 授業が騒がしいからブラジルの予備校はダメかといえば、けっしてそうではない。その一方で、自習室フロアで行われている個別指導が実に素晴らしいのだ。
 自習室フロアの中には各教科の先生が順繰りに待機している部屋(Plantão)があり、わからない問題がある学生は、そこへ行ってじっくり解説してもらうことが出来る。
 予備校に入る前から、友人に「個別指導部屋へ行けば、分かるようになるまで絶対に教えてくれるからお勧めだよ」と太鼓判を押されていた。半信半疑だったが、友人の言うとおりだった。
 先生達のマンツーマン解説は驚くほど分かりやすく、苦手な小論文の添削も顔を覚えてもらうほどしてもらった。一対多の授業より、はるかに濃い学習ができる。
 また、予備校の近くには図書館を併設した「サンパウロ文化センター」があり、気分転換のためにたまに通っていた。
 図書館の館内は広く、勉強机も多い。なによりとても静かなのが気に入っていた。
 図書館は月曜日が休みで、平日は午前10時から午後8時まで、土日は午後6時まで開いていた。ここでは大学生や社会人も勉強しにきていて、雰囲気からやる気がみなぎっている。閉館時間ぎりぎりまで勉強している人もざらで、自分も集中して勉強しなければという気分になる。
 そんな彼らを見ながら、「自分ももっとがんばろう」と勇気をもらえた。(松永エリケさん、続く)

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