美容医療施術で上唇失う=別物質注入で「騙された」

施術前後のマリアナ・ミシェリーニさん(5日付G1サイトの記事の一部)
施術前後のマリアナ・ミシェリーニさん(5日付G1サイトの記事の一部)

 サンパウロ州内陸部マトン市のクリニックで、2020年末に顔面の美容医療施術を行なったインフルエンサーのマリアナ・ミシェリーニさん(35)が、上唇を失う被害にあった。唇、あご、頬骨にヒアルロン酸と思われる物質を注入した半年後、顔の腫れと激しい痛みに襲われ、後に顔に注入された物質が実はアクリル樹脂(PMMA)であることが判明し、上唇を切除する必要が生じた。5日付G1サイトなど(1)(2)が報じた。
 PMMAは耐久性に優れ、ガラスの代用品として窓材や車輛用部品などの産業製品以外にも、コンタクトレンズ、食道インプラント、整形外科用セメントなど、様々な医療向け用途にも使用されている。
 だがブラジルの国家衛生監督庁(Anvisa)は、しみ、肺塞栓症、炎症、慢性疼痛、壊死などの結果を引き起こす可能性があるため、同物質を顔面施術に使用すべきではないとしている。日本や米国では注入材として顔面にも使用されている物質ではあるものの、専門医師がその注入法に精通していることが必須条件で、正しい使用法を守れば長期間に及ぶ効果があるとされている。
 マリアナさんは「施術を担当した専門家はヒアルロン酸だと言ったから信用したの。でも騙された」と訴えた。「私が施術室に到着したとき、注射器も何もかもすでに用意されていた。私は署名などしなかったし、注入材のパッケージの確認もしなかった」と振り返る。
 しかし施術半年後の21年6月のある朝、マリアナさんは顔の腫れと激痛で目を覚まし、施術を行った専門家のところへ行ったが、その人物はどうしていいかわからない様子だったいう。「私は彼女がとても動揺しているのを見て、彼女への信用が一気に崩れた。彼女は自分ではどうしたらいいかわからず、友人に助けを求めようとしていたの」
 マリアナさんはすぐに皮膚科医の処方に従い、コルチコイドや抗生物質を試したが、効果がなかった。別の専門家の協力を得て検査したところ、それがPMMAであり、顔の皮下に充填された異物が人中部分に移動し始めたことが判明した。「PMMAだと知ったときは絶望的だったわ。それが原因で亡くなった女性をインターネットで見たことがあったから」とマリアナさんは振り返る。
 マリアナさんは整形外科医に転院し、上唇と人中の領域を全摘出する手術を受けた。2023年12月には、彼女は失われた組織の再建手術を開始し、今後もさらなる手術が予定されている。
 彼女は自らの経験をSNSで共有した後、施術を行った人物から訴えられ、その人物の名前や職業を公表することは、現在できなくなっているとのこと。

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