オンライン賭博が急拡大=貧困層も熱中、540億レ

ブラジルでは19年にスポーツ賭博が合法化された(18日付オ・テンポ・サイトの記事の一部)
ブラジルでは19年にスポーツ賭博が合法化された(18日付オ・テンポ・サイトの記事の一部)

 ブラジル人がスポーツのオンライン賭博(Bets)に投じている資金は、昨年1〜11月までだけで合計約540億レアル(1兆6千億円相当)もの莫大なものだったことが明らかになった。この額の大部分は国外の賭博関連企業に送金された。18日付オ・テンポ(1)が報じている。
 これはブラジル中銀が公表した最新の統計に基づいており、国際収支勘定におけるデータの内訳から、ギャンブルや賭博関連の取引で支払われた金額が判明したもの。この11カ月間に使われた総額は、23年における1年間のブラジルの牛肉輸出額(463億レアル)を上回っている。ブラジルは世界一の牛肉輸出国だ。
 ブラジル人が国外の賭けサイトに払った金のうち約89億米ドル(433億レアル、1兆3千億円相当)は賭け金、残りの22億米ドル(107億レアル、3千億円相当)はサイトのサービス料だ。
 ブラジルでは19年にスポーツ賭博が合法化され、それに伴いこの分野の広告が急増し、特にサッカーのテレビ中継で独占的な存在となった。SNSも、有名インフルエンサーによって拡散されたギャンブル広告で溢れかえった。
 中央銀行の最新統計によれば、2023年1〜11月までの期間で約71億米ドルがブラジルに戻った。これは国内の賭け手が海外の賭博サイトで得た賞金に相当する。新しい為替レート法により資金流動の変動が分析可能になり、23年のデータを22年と比較することで、海外でのオンライン・ギャンブルにかかる支出の増加が明らかになった。
 ダッタ・フォーリャ調査によれば、ブラジル人の人口の15%がオンラインで賭けを行う、または行ったことがあると回答。賭けを行う人の月の平均支出は263レアル(8千円相当)で、これは23年の最低賃金の20%に相当。10人中3人が月に100レアル(3千円相当)以上を賭けていると回答した。
 この状況は、貧困層であるはずの社会福祉政策「ボルサ・ファミリア」受給者を含む幅広い層に広がっており、中でも若者と男性の間で人気が高い。16〜24歳の約1/3がこのギャンブルをしたことがあると答えている。本来18歳未満は法律で禁止されているにもかかわらず、若者の間でも急増している。
 加えて、未規制のウェブサイトが提供するスポーツに関連しないカジノスタイルのゲームが問題視されており、一部のサイトが賞金を支払わないなどの理由で調査を受けている。
 ブラジルで事業を行う企業は連邦政府に認可を受けなければならず、政府はその規制に乗り出し、それに伴う課税と運営に関する法律が可決された。
 オンライン賭博市場を規制するこの取組みは、24年の歳入を増やし、財政赤字を減らすために財務省が議会に送った法案の一つだ。新法ではブックメーカー(スポーツ賭博を提供している企業)の収入に12%の課税が課され、一方で賭け手は賞金の15%を納税することになる。政府はこの新しい法律に基づくライセンス発行だけで、約30億レアルの収入を見込んでいる。

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