マグロ漁停止で和食店に打撃=漁獲量制限で価格上昇へ

マグロ漁中断で和食レストラン危機(Foto: Michael Wave/unsplash)
マグロ漁中断で和食レストラン危機(Foto: Michael Wave/unsplash)

 2023年12月15日、連邦政府は同年の年末までマグロ漁の停止を命令した。同措置は、ブラジルが国際協定で定められたキハダマグロ漁の年間制限漁獲量に迫ったことを受けて発表された。これにより、国内最大のマグロ産地である東北部のリオ・グランデ・ド・ノルチ州では、漁業関係者は3千万レアル(約9億円)の損失と2500人の雇用に影響が出ると試算している。18日G1サイト(1)が報じた。
 キハダマグロは最も高級な食材のひとつで、ブラジルでは主に寿司や刺身などの和食に使われている。この魚種の国内の主要産地は同州と隣国セアラ州で、ブラジルの漁獲制限は国際協定で年間5441トンと定められている。
 連邦政府によると12月15日時点の漁獲高がブラジル割り当て分の95%という「トリガー」に達したため、停止処置が発動された。
 水産相は、「すでに年間漁獲制限枠のギリギリまできており、ブラジルが4年連続で漁獲制限を超過する危険性が非常に高い。このような事態は、国際的にも国内的にも悪影響をもたらす」との声明を発表した。
 操業停止の措置は23年12月15日に発効した。船舶は即操業を停止し、15日以内に港に戻り、最後の漁獲物を荷揚げしなければならない。漁業活動の再開は24年1月1日からとなる。
 連邦政府によれば、マグロ漁の漁獲制限を超えることは、大西洋におけるマグロおよびマグロに類する魚の管理を担当する地域漁業管理機関(RFMO)の54カ国と11月にエジプトで署名された、大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)との約束を破ることを意味する。
 その国際協定の中で、ブラジルは22年まで3年連続でキハダマグロの漁獲超過(計1500トン)したことを認め、これに対して24〜28年までの5年間で超過分を差し引くプランを提案して承認された。それによると、24年には漁獲枠を4400トンに一気に減らすことになる。
 それだけでも大打撃だ。だがこれは、23年には超過しないという前提で昨年11月に交わされた約束であり、超過した場合にはさらに厳しい対処が今後起こりえる。万が一それ起きたら最悪のケースになるので、連邦政府は未然に防ぐために今回「トリガー」を発動した。
 しかしリオ・グランデ・ド・ノルチ州のマグロ漁業関連企業は政府の措置に不満を示し、原料のみを考慮した場合、3千万レアルの損失が発生すると見積もっている。同州漁業組合のガブリエル・カルザバラ会長によると、工業を含めた規模で考えると、この数字は5倍以上になる可能性があるという。
 同氏は「年末15日間の中断は、その後2カ月間の市場に影響を与え、イベントの多い年末から夏(12〜3月頃)という業界にとって最も重要な時期に品薄になる可能性が懸念される」と指摘。
 「マグロ漁が再開される1月に漁に出ても、船は2月にしか戻ってこない。2カ月間も市場にマグロが不足することで、繁忙期の市場需要が満たされず価格が上昇する。この状況は、密漁行為を助長する可能性がある」と主張した。

最新記事