エクアドルに非常事態宣言=最悪麻薬組織のボス脱獄で

脱獄したホセ・アドルフォ・マシアス・ビジャマル受刑者(9日付G1サイトの記事の一宇)
脱獄したホセ・アドルフォ・マシアス・ビジャマル受刑者(9日付G1サイトの記事の一部)

 南米エクアドルで8日、グアヤキルの刑務所から麻薬犯罪組織「ロス・チョネロス」のリーダーが脱獄し、ノボア大統領が60日間の非常事態宣言を発令した。この直後に南西部マチャラ市にあるウィルソン・フランコ警察署では勤務中の警察官3人が誘拐された。首都キト市でも勤務中に1人の警察官が拉致され、海岸沿いのエスメラルダス州とピチンチャ州では3台の車両が放火された。9日付のG1サイトなど(1)(2)が報じている。
 エクアドルの検察局は7日夜、同国の主要犯罪者の一人、ホセ・アドルフォ・マシアス・ビジャマル受刑者(通称フィト、44歳)が刑務所から脱走したと発表。フィトは、同国で最も危険な犯罪者の一人と見なされており、地元警察と軍はフィトを見つけるために3千人以上を動員して捜索にあたっている。
 フィトは2011年に禁錮34年の刑を受けて刑務所に入ったが、今度はそこで暴力事件を主導するようになった。現地紙「エクスプレッソ」によると、彼は「ロス・ロボス」派と「ロス・ティゲロネス」派といった刑務所内の対立組織が自分を襲撃する計画を練っていると知り、同国の刑務所史上最悪の事件の一つ、79人の囚人を処刑した暴動を21年に起こした。それ以来、刑務所内の対立により400人以上が死亡する混乱状態が続く。
 フィトは昨年、大統領候補であったフェルナンド・ビリャビセンシオ氏の暗殺を計画し、刑務所内から殺害予告動画を投稿した疑いが持たれている。投稿された動画や、違法な電子機器へのアクセスなど、彼の行動は常に挑発的であるとされている。
 エクアドルで今回の非常事態宣言が出されたのは、ダニエル・ノボア氏が新大統領に就任してからわずか2カ月後。大統領の非常事態宣言により、警察は軍の支援を得て治安と安全を維持することになり、夜間の23時〜5時までの外出禁止令が全都市で発せられた。
 ノボア大統領はテロリストとの交渉は行わないと宣言し、「麻薬テロリスト集団は我々を脅迫しており、要求に屈すると思っている。私は軍と警察の指揮官に対して、刑務所の管理に介入する明確で正確な命令を出した」と述べた。
 フィトは13年にも脱走しており、その後再逮捕されている。エクアドル政府は治安危機への対応として、新たな諜報組織の創設、警備のための戦術兵器の採用、危険な囚人を一時的に刑務所船に隔離する計画などを含む、一連の安全保障計画を発表した。

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