麻薬密輸訓練所にガサ入れ=コカインカプセル飲み込む練習

胃の中に隠したコカインカプセルが写るX線画像(14日付G1サイトの記事の一部)
胃の中に隠したコカインカプセルが写るX線画像(14日付G1サイトの記事の一部)

 サンパウロ市西部の一軒家で33人に麻薬を飲み込ませて欧州へ密輸する訓練をしていた男が、23日に逮捕された。14日にはグアルーリョス国際空港で、ナイジェリア人乗客6人が胃の中にコカインのカプセルを隠し持っているのが見つかり、この男の逮捕につながった。26日付G1サイトなど(1)(2)(3)(4)が報じている。
 「mula」とは本来、動物のラバを意味する言葉だ。だが密売業者が違法薬物を、国境を越えて輸送するために使用する「運び屋」を指す隠語としても使われる。
 ラバ(運び屋)は麻薬を体内に隠し持つために、胃にとどまるように飲み込んだり、膣や直腸に挿入したりする。警察は、このラバ育成をアントニオ・アラウージョ容疑者(24)が主導していたと見ている。
 アラウージョ容疑者から訓練を受けていた33人は、ヴィラ・ソニア区サンタ・ビビアナ街の家に潜んでいるところを見つかり、警察で事情聴取を受けた後釈放された。
 関係者の証言によれば、そこでは薬物を飲み込む練習を日々行い、飲み込んだものを体内から排出させる刺激を与えないよう、特定の食品を摂取しないなどの厳格な食事制限を強いられていた。
 何人かは供述で、この仕事を始めたばかりではないことを認めており、報酬を受け取っていたことも明かした。
 「1カ月前、ある人物はリスボンに行き、その後フランスとアムステルダムに行った。その時、彼は大きなカプセルを130個運んだ。その際、2万レアル(60万円相当)を受け取るはずだったが、値引かれて14千レアルを受け取った」と関係者の一人は言う。
 家宅捜査では大量のスーツケース、携帯電話、パスポート、薬物を押収した。
 空港で検挙されたナイジェリア人は胃に麻薬を隠し持っていたが、胃のpHは強酸性であるため、薬剤を包むカプセルのプラスチックが腐食する危険性が高い。すると、多量の薬剤が血流に触れ、死に至る可能性がある。カプセルが破裂しなくても、ひどい痛み、出血、失神、痙攣に苦しむことになり、健康リスクの非常に高い危険行為だ。
 捜査にあたっているデニス・カリ署長によれば、「これらの人々のほとんどが経済的に脆弱な状況にあり、国際的な犯罪に手を染めてしまっている」と話した。

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