リオ=人違いで医師3人を銃殺=PSOL下議の兄被害に=犯罪組織が犯人4人死刑

 5日未明、リオ市バーラ・ダ・チジュッカのバーで聖市在住の医師4人が銃撃され、3人が死亡、1人が重傷を負った。死亡した医師の1人が聖州選出のサミア・ボンフィン下議(社会主義自由党・PSOL)の実兄だったため、当初は政治的な理由による粛清が疑われたが、警察は麻薬密売者らが犯罪者の民兵組織(ミリシア)の一員と人違いしたとみて捜査中だ。犯罪組織はその日のうちに〝裁判〟を開き、間違えた実行犯ら4人を死刑にしたようだ。5日付フォーリャ紙(1)やG1サイト(2)(3)が報じている。

 亡くなったのはサミア氏の兄のジエゴ・ラルフ・デ・ソウザ・ボンフィン氏(35)、マルコス・デ・アンドラーデ・コルサト氏(62)、ペルセウ・リベイロ・アルメイダ氏(33)の3人だ。3人は全員、聖市クリニカス病院勤務の整形外科医で、整形外科の国際会議でリオ市に来ていた。ジエゴ氏とマルコス氏は聖州、ペルゼウ氏はバイア州出身だった。
 事件発生は5日午前1時頃で、宿泊先のウィンザー・ホテル前にある海岸沿いのバールで被害者たち4人が談笑していたところ、黒服に身を包んだ3人組が車から降り、無言で銃弾を浴びせた。その間に要した時間は27秒で、1人に少なくとも3発以上、計33発が撃ち込まれた。
 4人のうち、聖州出身で同僚の整形外科医のダニエル・プロエンサ氏(33)のみが一命をとりとめ、入院、手術を受けた。術後の容体は安定しており、同日夜、私立病院に転院したという。
 ジエゴ氏はサミア・ボンフィン下議の兄で、サミア氏の夫でリオ州選出のグラウベル・ブラガ下議の義兄にあたる。サミア氏とグラウベル氏は2018年に殺害されたマリエレ・フランコ・リオ市議(当時)と同じPSOLの所属だ。
 この時点でフラヴィオ・ジノ法相や連邦警察は、政治的な対立が理由の犯罪であることを疑った。サミア下議も日頃から殺害予告などの強迫行為にあっていたことを事件後に明かしている。
 だが、犯罪者らが逃亡に使った車がスラム街のシダーデ・デ・デウスに向かったことや、数日前に釈放されたミリシアの1人がペルセウ氏と酷似していることなどから、警察は犯罪組織の抗争による誤認襲撃との見方を強めた。
 それを裏付けるかのように、警察は5日夜、リオセンター傍のアブラニョン・ジャボウル街とテネンテ・コロネル・ムニス・デ・アラゴン大通りで見つかった車の中から、殺害犯と思われる男性4人の遺体を発見した。
 身元が判明したのはフィリップ・モッタ・ペレイラ氏(通称レスク)、リアン・ヌーネス・デ・アルメイダ氏(通称リアン)、リーダー格と目されるチアゴ・ロペス・クラーロ・ダ・シルヴァ氏の3人で、全員、リオ最大の犯罪組織コマンド・ヴェルメーリョ(CV)の麻薬密売者だった。
 なお、警察がジエゴ氏らの殺害容疑者として睨んでいるブルーノ・ピント・マチアス(通称プレット・フォスコ)氏やジュアン・ブレノ・マルタ・ラモス・ロドリゲス(通称BMW)は含まれていなかった。
 市警は、犯人たちが人違いでジエゴさんらを殺害したことで、6日にはシダーデ・デ・デウスにも捜査の手が入ると知り、CVが独自の〝裁判〟を開いて4人に責任を取らせる形で処刑したと見ている。
 市警は、犯人たちの直接的な狙いはリオ市西部のミリシアの大物ダルミール・ペレイラ・バルボーザ氏の息子で、現場近くに住んでいるタイロン・アルカンタラ氏だったと見ている。タイロン氏もペルゼウ氏同様、丸刈りにメガネに無精髭で肥えており、外観が良く似ている。
 タイロン氏は9月に起きたCVのパウロ・アラゴン・フルタード殺害犯の一人で、報復のために同氏殺害を企てた犯人たちがペルゼウ氏をタイロン氏と間違えて起きた事件との見方が強まっている。
 R7サイト(4)によると、サミア下議は折々に、SNSに寄せられた多くの追悼や激励のメッセージに感謝を示し、事件に対しての詳細な捜査を求めている。
 同バールは大量殺人事件の数時間後には通常営業に戻り、現場となったテーブルで普通に談笑する客の姿が見られたと報道され、さらに波紋を呼んだ。

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