ルーラ「違法な経済封鎖の被害者」=G77でキューバ徹底援護=国連演説前に米国を批判

ルーラ大統領とディアス・カネル共産党第一書記(Ricardo Stuckert/Agencia Brasill)
ルーラ大統領とディアス・カネル共産党第一書記(Ricardo Stuckert/Agencia Brasill)

 ルーラ大統領は16日、キューバの首都ハバナで行われた「G77(途上国連合)+中国」の会議での演説で、米国によるキューバの経済制裁を「違法行為」と呼んで批判した。同日付G1サイト(1)などが報じている。
 今回のG77は国連に加盟するアジア、アフリカ、ラ米の開発途上国のうち、130カ国以上が参加し、そこに中国も加わるという形で行われた。
 その席でルーラ大統領は、キューバに対する長年にわたる米国の制裁政策を批判した。ルーラ氏はキューバを「公正な政府」と呼び、「これまで長年にわたり経済制裁の犠牲になってきた」と主張した。
 この経済制裁は冷戦時代の1962年2月7日から施行されており、これにより世界の大半の国はキューバとの商業的な関係を築くことが妨げられている上、現状では解除の兆しもない。
 これに対し、ルーラ氏はブラジルの相互貿易(バイラテラル)原則を主張し、「片方だけの一方的(ウニラテラル)な貿易にはいかなる場合であれ、反対する」と述べている。
 他方、バイデン大統領は2022年、キューバを「テロ撲滅に対して全然協力しない国」のリストに加え直した。ルーラ氏の声明はこれらを指してのものと思われる。
 ルーラ大統領とバイデン大統領はこれ以外にも、ロシア侵攻に対してウクライナへの支援協力を求められた際にルーラ大統領が拒否して以来、緊迫関係が続いている。
 ルーラ大統領はエネルギー変換への投資についても触れ、「新興国は気候変動や温暖化に関し、先進国ほど大きな歴史的な負債を抱えていない」とし、先進国が約束したものの、実際には実行していない巨額の対策負担金の拠出も改めて要求した。
 ルーラ大統領はさらに、ネット上でのヘイト(憎悪)発言の拡散抑制をよびかけた。「ユネスコによる規制がそうしたヘイトの言動の規制になるべきだ。それらは人権や民主主義にとっての脅威だからだ」と大統領は主張している。
 フォーリャ紙(2)によると、この会議後、ルーラ氏は同国のディアス・カネル共産党第一書記と、前任の国家最高責任者だったラウル・カストロ氏と面会している。目的はテメル、ボルソナロ政権で疎遠になっていた国交を回復するためだ。
 ルーラ氏は若い頃からキューバ革命を称賛しており、2016年に同国の独裁者フィデル・カストロが亡くなった際「ラ米人の中で最も偉大な人物」と追悼した。ジウマ政権時には返す見込みのない多大な借財を同国に許し、アジェンシア・ブラジル(3)によると、今回の会談では保健や農業の相互協約も交わしている
 なお、ルーラ氏は16日深夜にニューヨークに到着し、17日夜は企業家との会合に参加。19日には国連総会で演説を行い、20日にはバイデン大統領やウクライナのゼレンスキー大統領との首脳会談を行う予定だ。メトロポレス(4)によると、今回の米国訪問団には、大統領夫妻や13人の閣僚、上下院議長を含む25人の連邦議員、企業家など、約300人が参加している。

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