ボルソナロ、8年間の被選挙権剥奪決定=選挙高裁投票5対2で=「背中を刺された」と上告へ

ボルソナロ前大統領(Tania Rego/Agencia Brasil)
ボルソナロ前大統領(Tania Rego/Agencia Brasil)

 6月30日、選挙高裁でのボルソナロ前大統領の選挙違反を問う審理の最終結果が出て、判事投票5対2でボルソナロ氏の被選挙権は2030年までの8年間剥奪されることが決まった。6月30日付フォーリャ紙電子版など(1)(2)(3)(4)が報じている。
 今回の審理は前日の時点で3対1と有罪が優勢で、あと1票入ればボルソナロ氏の有罪が決まるところで終わっていた。6月30日は、最高裁判事も兼ねる残りの3判事の投票となっていた。
 最初に投票を行ったのはカルメン・ルシア判事だった。同判事は、問題となっている2022年7月18日の大統領官邸での各国大使を招いての会合において、「選挙システムに関しての虚報をかき集めた上、国営放送のTVブラジルを使ってそれを放送した」ことを問題視した。
 カルメン判事は「これが実証された出来事であり、疑いようがないことだ」とし、この会合で語られた事柄は通常通りの合法的な選挙過程に影響を及ぼし得るものだったとし、ボルソナロ氏側の弁護士による、「連邦政府とは関係のない中立的なもの」との主張を否定した。
 同判事はさらに、この会合が当時の外相にも知らされずに開かれたことや、ボルソナロ氏が選挙高裁歴代長官のルイス・ロベルト・バローゾ、エジソン・ファキン、アレッシャンドレ・デ・モラエスの各氏を攻撃し続けたことも問題視した。
 これにより、カルメン判事はベネジト・ゴンサルヴェス、フロリアーノ・ド・アゼヴェド・マルケス、アンドレ・ラモス・タヴァレス判事に続き、有罪に票を投じた。この時点で票は過半数の4票に達した。
 続いてカシオ・マルケス判事が投票を行った。ボルソナロ氏に指名されて最高裁判事に選ばれた経緯のある同判事は、「被選挙権剥奪に値するほど大きなものではない」とし、ラウル・アラウージョ判事に次ぐ無罪票を投じた。
 だが、カシオ判事はボルソナロ支持者から求められていた「票の見直しを求めることによる投票延期」を求めなかった上、ボルソナロ前大統領が導入を求め続けていた投票結果の印刷付電子投票ではなく、選挙高裁が採用した通常の電子投票について「1996年以来、違反もなく採用され続けている」とし、信頼を表した。
 最後に投票したモラエス長官は、「私は民主主義を信じる」「間違った情報で真実をゆがめる非民主主義的行為を憎む」と語り、ボルソナロ氏に関しても、「自身を司法の陰謀の犠牲者だと有権者に信じさせようとした」とした。
 さらに、2021年の選挙高裁でボルソナロ氏を無罪にした際、「2022年の選挙で虚報は厳しく取り締まると言ってあったはずだ」と語り、有罪に投票。これにより、5対2で結審した。
 フォーリャ紙によれば30日、前大統領は「判決によって背中を刺された」とし、「私は資格不適格にはなりたくない。政治においては、その言葉は私のものではない。誰も殺さない、誰も死なない」と述べ、その弁護士タルシシオ・ビエイラ・デ・カルヴァーリョ氏は「裁判の結果を尊重し、最高裁判所への上告を検討するつもりだ」とコメントした。 

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