ボルソナロ、証拠に反論準備あり=弁護側の裁判戦略明らかに=有罪なら被選挙権剥奪

22日の審理(Marcelo Camargo/Agencia Brasil)
22日の審理(Marcelo Camargo/Agencia Brasil)

 27日に再開されるボルソナロ前大統領の選挙法違反行為に関する選挙高裁での審理に関し、ボルソナロ氏側は証拠の一部に対して疑問を唱えることによって有罪を逃れる戦略を立てていると、26日付フォーリャ紙(1)が報じている。この審理で有罪になれば、前大統領は8年間、被選挙権を剥奪されることになる。
 27日の19時から再開されるボルソナロ氏の審理は、同氏が2022年7月に各国大使らを招いて「ブラジルの選挙システムに不正がある」との情報を拡散したことに関するものだ。同氏が主張した、2018年の大統領選でのハッキング攻撃は連邦警察の調べで既に「問題なし」とされていたものだ。同件は、現職の大統領が大統領選の3カ月前に公費を使って開いた会合で選挙システムへの疑問を呈したことや、国営テレビを通じて放送したことが政治権力の乱用やメディアの悪用にあたるとして、民主労働党(PDT)が訴えたものだ。
 現状では、ボルソナロ氏が不利と予想されているが、これに対して同氏の弁護団は「証拠」に対して異議を唱えることで抗戦しようとしているという。
 ボルソナロ氏の担当弁護士のタルシジオ・ヴィエイラ・デ・カルヴァーリョ氏は、問題となった会合でのボルソナロ氏の発言に関して、「不適切で刺激の強い口調で行われたかもしれないが、あくまでも法の範囲内でのものだ」とし、「選挙高裁があの会合を連邦政府が絡んだものであったか否かを審理できるのかが疑問だ」と語っている。
 タルシジオ氏は報告官を務めるベネジト・ゴンサルヴェス判事が2023年1月にアンデルソン・トレス前法相宅で見つかった、大統領選の結果を変える条例の原案も証拠に加えたことに疑問を抱いている。これはPDTが訴えを起こした時点ではまだ判明していなかったもので、訴訟の対象となっている2022年7月の会合とは無関係という主張だ。
 2015年に行われた、前年の大統領選で当選したジウマ氏、テメル氏のシャッパに対する選挙高裁での裁判でも、「新たに浮上した証拠」を巡り、法廷内で議論が起き、最終的に、判事投票3―4で無罪となっている。
 ボルソナロ氏の弁護側はさらに、報告官が2021年にボルソナロ氏がライブで行った選挙システムに懐疑的な発言も証拠に加えたことにも不満を示している。タルシジオ弁護士は「ゴンサルヴェス判事の判断は度を超している」としており、そこも反論材料にしたい構えでいる。
 だが、PDT側弁護士のヴォルガネ・カルヴァーリョ氏は、「判事達が最初に審理するのは、問題の会合でボルソナロ氏が何を言ったかで、それが合法か違法かの話になるはずだ。表現の自由の許容範囲を超えていると判断されて初めて、その重大さについての分析が始まるはず」とし、ボルソナロ氏の弁護側の戦略に対して疑問を呈している。
 ボルソナロ氏の弁護側は、元大統領は選挙プロセスの透明性に対する疑問を払しょくするために国家元首として会合を開いたのであり、有権者の意思に干渉するつもりはなかったと主張し、イベントの合法性についても問う意向でいる。

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