エスタードスクープ=サウジと軍用爆発物工場の秘密協定=前々政権時代から、宝飾贈答品との関係は?

 テメル/ボルソナロ政権は、サウジアラビア独裁政権と同国初の軍用爆発物工場を建設するための秘密協定を締結していたと17日付エスタード紙(1)(2)がスクープした。ボルソナロ前大統領の選挙高裁での裁判は今週22日から始まるが、苦しい展開が予想されている。
 エスタード紙によると、工場建設は同国の軍の要望に応える形で兵器や爆弾を作るためで、兵器や爆弾は中東での戦争に使われる可能性があるという。工場の設計には伯国企業も関わっており、2030年までに爆発物や爆弾を起爆するための導火線などの軍事需要の全てを供給することを目指すという。
 この計画はサウジアラビアのムハンマド王太子の下で進められ、テメル政権末期の2018年下半期に密約が交わされたという。だが、進展したのはボルソナロ前大統領の政権下の2019〜22年で、軍事テクノロジーの輸出承認が進んでいたという。そのためには国防省、科学技術省、外務省の承認が必要となるが、エスタード紙の問い合わせに対して3省は「今件の動機や条件についてはコメントできない」と返答して取材を拒否したと報じられている。
 エスタード紙が入手したデータによると、ブラジル企業による同工場への関心も高まっており、2017〜18年には10件の申請に対し8件が承認され、19〜21年には21件の要請に対し17件が承認されている。その中には、武器や装甲車両、爆弾、サービス販売に関する契約が含まれているという。
 承認申請を出した企業の内、2018年7月にサウジアラビアと契約を結ぶところまで至ったのは、サンパウロ州サンジョゼ・ドス・カンポスに拠点を置くマック・ジー社だ、同社はサウジ最大の電力並びに軍事企業であるサウジ化学有限会社(SCLL)の敷地内に50万平米の工場を構え、爆弾製造時に使われるTNTやRDXといったコンポーネントを製造しているという。同社の社長など、関係者もサウジとの関わりを公に認めている。
 軍事工場建設の密約は、2018年に起きたジャーナリスト殺害事件以降、サウジアラビアへの国際的な投資が落ち込んでいる時期に進展したことでも注目される。サウジアラビアはボルソナロ氏が大統領就任初期の2019年に訪れた国の一つだ。三男のエドゥアルド下議も19年上半期に訪れて以来、頻繁に訪れている。
 今回のこの件は、2021年10月にサンパウロ州グアルーリョス空港の税関で押収されたサウジ王室からの1650万レアル相当の高価な贈り物に賄賂の疑いがかけられている最中のものだった。
 ボルソナロ氏は22日から選挙高裁での裁判が控えている。同氏と副大統領候補だったヴァルテル・ブラガ・ネット氏による連立名簿(シャッパ)に対する選挙法違反の訴えは16件ある。今回は昨年6月に大統領官邸で各国大使らを前に行った、ブラジルの選挙集計システムに対する虚偽の不正疑惑拡散に関してのものだ。
 選挙高裁はボルソナロ氏に関し、1月8日の三権中枢施設襲撃事件と関連付けた審理を展開する可能性があるが、19日付G1サイトなどによると、最初の案件でも苦戦が予想されているという。いずれかの裁判で有罪となった場合、ボルソナロ氏は8年間、被選挙権を失うことになる。

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