ビリンスキー下議=ナチス志願兵の祖父賞賛=イスラエル協会が抗議

パウロ・ビリンスキー下議(Câmara dos Deputados, via Wikimedia Commons)

 17日、下院でデレガード・パウロ・ビリンスキー下議(自由党・PL)が「祖父がナチス側について戦ったことを誇りに思う」と発言し、物議を醸した。18日付グローボ紙(1)などが報じている。
 この日はウクライナの民族伝統を保存するためにシンボルの一つの刺しゅう入りの民族衣装を作って着るという国際的な祝日「国際ヴィシヴァンカの日」で、ビリンスキー下議はこの衣装を着て下院の答弁に登場した。
 この席で第二次世界大戦に参戦した祖父のことについて尋ねられた同下議は、「祖父は1948年にブラジルに来たが、20歳の時、祖国の自由のために戦った」として、祖父への誇りを語った。
 同下議の祖父ボーダン氏は、ウクライナがソ連領となっていた時代に、ナチスの武装親衛隊「ヴァッフェンSS」の志願兵になっていた過去を持つ。
 ビリンスキー下議は続けて、「今、私は下議として同胞の側にあり、ブラジルで共産主義と戦っているのだ」と発言した。
 この発言がブラジル憲法で禁止されているナチス擁護と解釈され、物議を醸した。この発言に対し、ブラジル・イスラエル研究所は18日に、「祖父のことを語る際に、ナチスがどういう存在だったかを考える必要がある」として、同下議の発言に強い不快感を示した。
 ビリンスキー氏は今年2月に下議に就任する前は銃規制緩和を唱えるインフルエンサーとして知られており、2020年には、同氏の浮気に激昂した恋人がピストル心中を図り、彼に銃弾6発を撃ち込んだ上で、本人も自殺した。だが彼だけは生き残ったことで話題になっていた。

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