CNN=クーデター画策疑惑続々=年末「兵士1500人集める」=パズエロ保健相側近と密談

 ボルソナロ前大統領らのコロナワクチンの接種証明記録改ざんの嫌疑で逮捕された元陸軍のアイルトン・バロス容疑者が昨年の大統領選後、大統領選でボルソナロ氏の副候補だったヴァルテル・ブラガ・ネット氏やエドゥアルド・パズエロ元保健相の側近だった陸軍大佐のエルシオ・フランコ氏と、軍事クーデターについて話し合っていた疑惑が浮上した。8日付CNNブラジル(1)などが報じている。
 これは、8日のCNNブラジルのスクープで明らかになった。アイルトン容疑者は先週も、ボルソナロ氏の右腕だったマウロ・シジ容疑者と昨年の12月15日頃から数回にわたり、クーデターに関して話し合っていたことが明らかにされたが、今回のものはその内容から、もう少し後のものと推測される。
 この会話ではまずエルシオ氏が、「かくなる上はヴィルジリオ氏しかいない」と、陸軍特殊作戦大隊のヴィルジリオ・マルシ・ガルシア氏の名前を出して話を切り出している。「フレイレ・ゴメス司令官ではダメだ。彼は名誉の死でも主張するのだろうが、(クーデターを起こしてうまくいかなかった場合の)結果を恐れているだけだ」と強く主張した。
 アイルトン氏もそれに対し、「ゴイアニアの特殊作戦部隊の司令官を説得してアレッシャンドレ・デ・モラエス(選挙高裁長官)を逮捕するべきだ。なんとか1500人の兵士を組織しようではないか」と主張をエスカレートさせた。
 アイルトン容疑者はシジ容疑者との会話では「三権の範囲内で行うことで問題はない」と発言していたが、この会話では「これまでは三権の範囲内でと考えていたが、今の我々に何が残されている?」といい、「日曜(12月18日)にモラエスを捕まえ、19日に大統領令かそれに類した文書を読み上げさせ、大統領を最高司令官とする三軍を結集させるしかない。そうでもしなければ、軍の汚名をそそげない」と語っていた。
 アイルトン容疑者が絡んだ録音記録でクーデター画策疑惑が浮上したのは2週連続だ。同容疑者に関しては先週末も、ボルソナロ氏から「第二の兄弟よ」と呼びかけられる録音が各メディアで報じられていた。
 また、同容疑者は陸軍在籍中に13件で起訴された挙句、追放処分を受けたが、「死亡した」との虚偽申告により、夫人が違法な形で遺族年金を受け取っていた疑惑が浮上。国立会計検査院(TCU)が捜査に乗り出している。
 エルシオ氏はパズエロ保健相時代に保健省のナンバー2だった人物で、2021年に行われた上院のコロナ禍議会調査委員会(CPI)では「コロナワクチンを介して贈収賄工作を行おうとした」として、米国ダヴァティ社の伯国代表者から爆弾証言を受けて騒動になったことがある。
 また、同氏は官房長官、国防相を歴任したブラガ・ネット氏の側近としても知られていた。ブラガ・ネット氏は昨年11月18日、大統領官邸前でボルソナロ氏落選を嘆く支持者に対し、「時間はかかるがこれが終わりではない」という意味深な発言をしていたことが報じられていた。
 なお、これらの音声記録その他の資料は、シジ容疑者やバロス容疑者の逮捕を裏付ける調査の一部だ。

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