シジ容疑者、12月にクーデター話し合う=別容疑者との会話記録発覚=自宅からは巨額現金も発見

 

 ボルソナロ前大統領の右腕で、コロナワクチンの接種記録改ざん工作の嫌疑で3日に逮捕された陸軍中佐のマウロ・シジ容疑者の携帯電話の記録から、別の容疑者と昨年12月に大統領選の結果を覆すクーデターを企てようとしていたことが、4日付のCNNのスクープ報道(1)で暴露された。
 4日付のCNNブラジルのスクープ報道によれば、シジ容疑者が同じく3日に逮捕されたアイルトン・バロス容疑者と陸軍によるクーデターについて話していると見られる録音が三つ見つかったという。
 その一つで12月15日に録音されたものの中では、バロス容疑者が「今日から明日にかけ、フレイレ・ゴメス陸軍司令官(当時)に、やるべきことをやるよう、働きかけ続けなくてはならない」と語っていた。
 バロス容疑者は続けて、「明日の午後までに司令官は国民を守るための声明を発表しなければならない。彼が出さなければ、ボルソナロ氏がその声明を出さなくてはならなくなる。わかるか? ブラジル中が揺れているんだ」とも語っていた。
 同容疑者はこの行為に関し、「難しいことじゃない。俺たちには(法案を書くための)ペン、そして武力の両方がある。何の問題があるんだ。三権の定めるところの範囲内じゃないか」とし、「それなのに何も動きが見えない。これでは負けてしまう」といらだちを見せた。
 バロス容疑者の計画では、月曜日(12月19日)に具体的で大きな動きが起こることを望んでいたことも確認されている。陸軍施設前で抗議活動をしていた人たちの間では当時、フレイレ陸軍司令官がクーデターに向けて動くのではないかとの噂も広がっており、ネット上でフレイレ氏に行動を促す声も見受けられていた。
 バロス氏は陸軍に所属していたが、陸軍のキャンプで民間人に性的暴行を行うなどして逮捕経験が7度ある。最終的には、麻薬密売組織が盗んだ武器返却を求める交渉に携わった嫌疑で2006年に軍を追われた。その後はリオで弁護士に転身。ボルソナロ氏とも旧知の仲で、2022年のリオ州議選にも「ボルソナロの01」と称して出馬したが、7千票しか得られず、落選した。
 バロス、シジの両容疑者は、12月18日にも、選挙高裁長官でもある最高裁のアレッシャンドレ・デ・モラエス判事に関し、「逮捕するべきだ」と話し合っていたことが確認されている。
 他方、シジ容疑者に関しては、コロナワクチンの接種記録改ざん疑惑での家宅捜査時に現金3万5千ドル(約17万3千レアル)も押収されている。連邦警察はこの件やワクチン記録改ざん、政府派遣団(当時)がサウジアラビアからの贈り物として受けとり、申告もせずに持ち込もうとしてグアルーリョス空港で押収された160万レアル相当の価値のある宝石の回収を試みたことなどを合わせ、同容疑者がボルソナロ氏の国外逃亡計画を立てていた可能性も疑われているという。

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