連邦警察=前大統領は知っていたはず=ワクチン接種記録改ざん疑惑=連邦検察庁はシジ単独犯行説

 【既報関連】連警が3日に行った「ヴェニレ作戦」に関し、連邦警察はボルソナロ前大統領が「コロナワクチンの接種記録の改ざんを知っていた」との見方を固めていたことや、最高裁のアレッシャンドレ・デ・モラエス判事が前大統領のパスポートなどの押収も命じていたことが明らかになった。3日付エスタード紙(1)などが報じている。
 ヴェニレ作戦はボルソナロ前大統領や長女のラウラさん、3日に逮捕された側近の陸軍中佐で「大統領の右腕」とも呼ばれていたマウロ・シジ容疑者とその妻などのコロナワクチンの接種記録が改ざんされたとの嫌疑に関する捜査で、6人が逮捕、ボルソナロ前大統領夫婦の携帯電話が押収されるなどの事態が起き、国内外に強い波紋を投げかけた。
 これに対し、連邦検察庁のリンドラ・アラウージョ副長官は、これを「シジ容疑者の単独犯行」と判断し、ボルソナロ氏は関与していないとの見方を示していた。
 一方、連邦警察は、リオ州ドゥケ・デ・カシアス市職員がボルソナロ氏とラウラさん、シジ氏とその家族に加え、前大統領元側近のマックス・ギリェルメ氏、セルジオ・コルデイロ氏のコロナワクチンの接種記録改ざんに関与した証拠を提示。
 例えば、ボルソナロ氏の場合、2022年12月21日に「ドゥケ・デ・カシアス市で2022年8月13日に初回、10月14日に2回目の接種を受けた」との内容で接種登録がされ、接種証明も発行されたという。この記録は6日後の27日に削除された。
 他方、米国のフロリダに渡航した12月30日にシジ氏の携帯電話から発行された接種証明には、前大統領が「スイスのヤンセン社製のワクチンを1度接種」と記録されていたという。連警によると、接種登録や証明発行用アプリには、シジ氏や米国にも同行した元側近のマルセロ・コスタ・カマラ容疑者のメールアドレスが登録されていたという。
 連警は12月22日と27日にプラナウト宮(大統領府)のコンピューターから接種証明を発行するConecteSUSにアクセスがあったことを指摘。連警はこれをボルソナロ氏が計画を事前に知っていたとする根拠にしている。
 モラエス判事は、事前に得ていた連警からの証拠書類などから検察庁が立てた「シジ容疑者の単独犯行」の可能性を疑問視。さらに、ボルソナロ氏は反ワクチン主義者で、上院でのパンデミックに関する議会調査委員会(CPI)設置や同件での最高裁の捜査に対しても強く反対していたこと合わせ、「犯罪性を強く裏付けるものがある」との見方を固め、前大統領宅も今回の作戦の家宅捜査の対象とした。
 モラエス判事はボルソナロ氏宅で携帯電話やパスポート、銃や銃弾、コンピューター、タブレットなどを押収することを命じたが、連警によるとパスポートは押収できなかったという。
 ボルソナロ氏は3日、捜査を受けた直後に「コロナワクチンの接種は行ったことがない」「改ざんなぞ知らされていない」と主張している。UOLサイトによると、故意に虚偽のデータを提供して米国に入国した場合、最高で10年の懲役が科せられる可能性がある。

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