元ジャニーズ=カウアン・オカモトが性被害告発=「現実だと思えなかった」=芸能事務所に真摯な対応求める

カウアン・オカモト氏(同氏提供)

 4月12日(日本時間)に東京の日本外国特派員協会で記者会見を行い、日本の大手芸能プロダクション「ジャニーズ事務所」創立者の故ジャニー喜多川氏からの性被害を告発したカウアン・オカモトさん(4世、26歳)が24日、日本のテレビ局TBSの待合室からオンラインで本紙取材に応じた。

 カウアンさんはデカセギで訪日した両親の元、愛知県豊橋市に生まれた。15歳の頃、地元の不良との喧嘩三昧の中で歌と出会い、歌手を目指した。知り合いを通じて履歴書がジャニー喜多川氏に渡り、喜多川氏直接の招きによって上京。ジャニーズジュニアとしての生活を始めたが、喜多川氏の自宅に呼ばれ性的被害に遭ったという。
 カウアンさんは今回記者会見で告発した理由を「今までいろいろ隠してきたが、今年は正直に生きたいと思い、会見を開いた」と説明。
 カウアンさんは22年11月にも、前参院議員のガーシー(本名・東谷義和)のユーチューブチャンネルに出演して、故ジャニー喜多川氏からの性被害の実態を赤裸々に語っている。
 喜多川氏による性被害問題は、イギリス公共放送BBCが独自にドキュメンタリー番組を制作。ポルトガル語や中国語字幕付き動画が拡散され世界的に話題を呼んだ。
 性被害当時わずか15歳だったオカモトさんは、「されている最中はとても複雑な気持ちになった。(起きていることが)現実だと思えなかったし、断ればいいのか、逃げればいいのか分からなかった」と振り返る。トップの鶴の一声で芸能人生の今後が決まる業界の現実の中で、社会経験のない少年には断る選択肢はなかったようだ。
 「ジャニーズのお陰で活躍できたことは事実なので、もちろん感謝しているが、事務所は問題について真摯に向き合ってほしい」と訴えた。
 カウアンさんは2016年にジャニーズ事務所を辞め、アーティスト活動を開始。20年にはブラジルの人気番組「プログラマ・ラウル・ジル」に出演し、22年には県連日本祭りのステージに立って新曲「オルゴール」を含めた4曲を披露した。今年1月には本紙に《はみ出し4世がアーティストに=ジャニーズ事務所辞めて挑戦!カウアン・オカモト》が4回連載されるなど当地でも知られる存在となっている。
 カウアンさんは今後について「日系ブラジル人を代表して表舞台で活躍する人間になりたい」と目標を語り、「僕は小さい時からハーフとしてのプレッシャーを感じていた。今辛い境遇にある子供達もめげずに自分の夢を追いかけて欲しい」と日本在住の日系ブラジル人子弟への想いを語った。

□サビアの独り言□

 2017年、ハリウッドでは有名映画プロデューサーから性的被害を受けた女優ら数十人が事件被害を訴えるMeToo運動が起きたが、日本ではその流れはあまり盛り上がっていないよう。カウアンさんがわざわざ外国特派員協会で記者会見を行ったのも、日本のメディアがその頃はあまり積極的でなかったからのようだ。カウアンさんの勇気ある告発を受け、芸能界の中から一緒に立ち上がる仲間がもっと出てくれば、流れは変わるかも。

【参考リンク】
2023年1月31日【ブラジル日報】はみ出し4世がアーティストに ジャニーズ事務所辞めて挑戦!カウアン・オカモト(4)「日伯股にかけたスターになる」

2023年1月31日【ブラジル日報】はみ出し4世がアーティストに ジャニーズ事務所辞めて挑戦!カウアン・オカモト(3)ジャニーさん「歌っちゃおうか」

2023年1月28日【ブラジル日報】はみ出し4世がアーティストに ジャニーズ事務所辞めて挑戦!カウアン・オカモト(2)喧嘩三昧の中で心の歌と出会う

2023年1月27日【ブラジル日報】はみ出し4世がアーティストに=ジャニーズ事務所辞めて挑戦!カウアン・オカモト (1) 強い孤立感「日本人じゃない」

2020年3月12日【ニッケイ新聞】地球の反対側から世界目指す!=元ジャニーズJr.岡本カウアン=ブラジル人気番組でデビューへ

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