三権中枢施設襲撃事件=監視カメラの詳細明らかに=GSIが襲撃者に水を与える=ゴンサウヴェスが連警で証言

 【既報関連】CNNブラジルが19日に報じた1月8日の三権中枢施設襲撃事件の日の監視カメラ映像が原因で、19日に大統領安全保障室(GSI)長官を辞任したゴンサウヴェス・ジアス氏が21日、連邦警察で事情聴取を受けた。20日は監視カメラの映像の守秘義務が解かれたため、各メディアが次々に監視カメラの映像を報じたため、事件当日のGSIメンバーの行動もより明白になってきている。22日付G1サイト(1)などが報じている。
 19日にCNNブラジルが報じた襲撃の日の監視カメラの映像に映っていたことで責任を追及されたゴンサウヴェス氏は、最高裁命令で行われた連邦警察での事情聴取で、襲撃事件に関し、「就任が1月2日で、その後の5日間では組織の把握はできなかった。それは前任のエレーノ氏が事前の引き継ぎを行わせなかったためだ」とし、エレーノ氏を責めた。
 ゴンサウヴェス氏はさらに、「ブラジル情報庁(Abin)が情報を送ってこなかったため、1月6~8日の抗議活動の状況が把握できていなかった」とし、「8日の14時50分になって初めて、警備補強の必要性を命じられた」と語った。
 同氏は1月8日16時に大統領府に着き、4階で状況を見ていたが、3階にも襲撃者が入ってくるのを見て追い返そうとしたという。逮捕に至らなかったのは逮捕命令が出てなかったためで、それがあれば「200人は逮捕できていた」と語った。
 さらに、襲撃者に水を提供したことが映像で確認されたジョゼ・エドゥアルド・ナターレ・デ・パウラ・フェレイラ少佐に関しては、「調べなくてはならない」と語った。
 その後の報道では、ナターレ少佐がGSIの中でも、ボルソナロ前大統領、モウロン前副大統領の移動時の帯同担当者だったこと、同少佐を含む9人中、7人のボルソナロ前大統領付のGSIメンバーが襲撃当日に監視カメラに写っていたこと、彼らはモトシアッタ(バイクでのアピール行動)や選挙キャンペーンにも帯同していたことなどが報じられている。
 また、アレッシャンドレ・デ・モラエス最高裁判事が防犯カメラの映像の守秘義務を解いたことで、23日頃からは各テレビ局でも監視カメラの映像がより詳細に報じられるようになった。24日付フォーリャ紙では、大統領府で襲撃者に対応していたはずのナターレ氏が襲撃者に水を飲ませたりした上、ルーラ大統領の部屋にこそ襲撃者を侵入させなかったものの、ジャンジャ大統領夫人の部屋が荒らされていた時は携帯電話で会話を行っており、襲撃を黙認していたこと、襲撃者が消火器を持って行こうとするのも黙認していたこと、約30分経ってゴンサウヴェス氏が3階に着いた時は襲撃者たちが既に3階を立ち去っていた様子などが映し出されていた。
 映像に映っていたGSIのメンバー9人も連邦警察で事情聴取を受けているが、ナターレ氏は「水を差し出すのは危機時の対応の一つ」と語っている。
 襲撃事件の解明にあたっているリカルド・カペーリ暫定GSI長官は23日、大統領府の警備状態を車に喩え、「(前任者の)エレーノ氏が4年間運転してきた〝車〟を何も直さないままゴンサウヴェス氏に渡したら、わずか7日で壊れた。誰に責任があるのか?」と語り、前任者の責任と主張している。

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