CNNブラジル、1月8日の衝撃映像公開=警備職員が襲撃者を案内=軍閥GSI長官が辞任

 19日、CNNブラジルが1月8日の三権中枢施設襲撃事件の際の未公表だった監視カメラの映像を公開。そこでは、大統領府安全保障室(GSI)のメンバーが襲撃犯たちを大統領府内に案内している姿などが映し出され、物議を醸した。これにより、ゴンサルヴェス・ジアスGSI長官が辞任した。同日は連邦直轄区議会が開設した反民主主義的行為に関する議会調査委員会(CPI)が開催されたが、アウグスト・エレーノ前GSI長官は召喚されていたにもかかわらず、欠席している。19日付CNNブラジル(1)などが報じている。
 19日に公開された映像では、襲撃当時、大統領府内にいたゴンサルヴェス長官の姿も映し出されていた。また、GSIのメンバーたちが、襲撃者たちを大統領府で迎え入れ、案内している姿なども映っていた。
 1月8日の襲撃事件では、「大統領府の入り口は何者かによって開けられていた」ことがかねてから問題視されており、この映像の公開は衝撃となった。
 この映像公開直後、ゴンサルヴェス長官は辞表を提出した。同長官は2003〜09年にルーラ大統領(当時)のボディガードを務め、ジウマ政権では戦略局の顧問を務めるなど、軍の中でも有数の労働者党(PT)に近い存在と見なされていた。
 ゴンサルヴェス氏はルーラ大統領並びに側近から、1月8日の監視カメラの映像を手渡すよう依頼されていたが、監視カメラは壊れていたなどと理由をつけ、数度にわたりそれを拒んでいた。19日午前中はゴンサルヴェス氏も含む形で緊急閣僚会議が行われたが、ルーラ大統領はビデオの受け渡しを拒否してきたことに最も腹を立てていたという。
 20日、ゴンサルヴェス氏はグローボ局に対し、「襲撃の日は襲撃者を摘み出すためにそこにいた」と証言している。
 一方、この映像でGSIメンバーの顔が隠されたまま公開されたことが別の憶測を呼んでいる。PTのグレイシ・ホフマン党首は「彼らはアウグスト・エレーノ前長官時代のメンバーだ。あの襲撃の時、彼らに関してはまだ人事異動が行われていなかった」と主張している。
 また、ゴンサルヴェス氏が知人に、「GSI内部で脅しを受けていた」と語っていたとの報道もある。
 ボルソナロ政権の中でもボルソナロ氏の信頼が厚い腹心の一人と見なされていたエレーノ氏と同氏の時代のGSIは、襲撃事件直後から事件への関与が疑われていた。エレーノ氏は19日に連邦直轄区議会で行われていた同件に関するCPIで証言を求められていたが、直前になって出席できないと連絡を入れた上、今後も証言はしないと語り、波紋を呼んでいた。
 これらの件を受け、連邦直轄区議会の反民主主義的行為に関するCPIは19日、ゴンサルヴェス氏とエレーノ氏を召喚する意向を固めた。
 また、アレッシャンドレ・デ・モラエス最高裁判事は、連邦警察に対し、48時間以内にゴンサウヴェス氏の事情聴取を行うよう命令した。
 GSI長官の後任には暫定的に、襲撃事件後に連邦直轄区の治安面への介入時の統括役を担当したリカルド・カッペリ氏が就任する。この一件により、連邦政府も連邦議会内に反民主主義的行為に関するCPIを設置することに応じる見込みで、ルーラ大統領が考えていたGSIの廃止や大統領府からの軍人排除が加速する可能性も高まっている。

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