《記者の目コラム》「リベルダージは日本だけじゃない」=文協横にある不思議な壁画

わざわざ日本語で書かれた〝伝言〟

 「リベルダージは日本だけじゃない」との〝伝言〟が、首に縄をまいた男性の絵と共に、ブラジル日本文化福祉協会の駐車場出口の正面に描かれている。ガルボン・ブエノ街541番あたりだ。
 東洋系の男性が首に縄をまかれているようにも見え、一見不穏な感じもする。右下の落款の部分は「三田」もしくは「三舟」とも読めそう。「日本語で書かれているので、日本人・日系人に向けられているようで気持ち悪いんですよ」と東洋街に住む二世女性が編集部に訴えてきた。
 近くで商店を営む日系人に聞くと「1カ月ほど前の開店時、朝6時半頃かな、日本からきた日本人みたいな人があの日本語の部分を書いていたのを見た」という。最近描かれたものらしい。
 絵の上部には「Chaguinhas」との赤文字が。これを見て、ピンとくるものがあった。ニッケイ新聞21年10月5日付記者コラム《首吊り縄が2回切れたシャギーニャの奇跡=その没後200周年祝う》(1)で書いたシャギーニャだ。
 200年前の1821年9月20日、今のリベルダーデ広場が絞首刑場だった時代、黒人軍人のシャギーニャが首吊りをされる際、2回縄が切れる奇跡が起きた。最後は殴り殺されてしまったが、黒人系コミュニティの一部では奇跡として今も崇められている。
 このコミュニティの人達がリベルダーデ日本広場に、サンパウロ市最古のサンバチームの一つ「ラヴァ・ペス」の女性創立者の銅像を昨年建てた。彼らは「ここには黒人の歴史も深く刻まれているから、メトロ駅名や広場の名前に日本を入れるのはおかしい。リベルダーデは日本だけじゃない」との主張をしている。
 日系人側からは「駅名や広場名は移民110周年の単なる顕彰。『日本だけ』という意味ではない。それぞれのコミュニティが自分たちのマニフェストをやって東洋街を皆で盛り上げましょう」との声が聞こえる。
 このような伝言より、食や音楽やダンスなど黒人文化を広める活動を熱心に東洋街で展開した方が効果は高いかも―と考えさせられた。(深)

(1)https://www.nikkeyshimbun.jp/2021/211005-41colonia.html

最新記事