《記者コラム》トランプ氏起訴で、どうなる26年ブラジル大統領選

トランプ氏(White House Official)

 ドナルド・トランプ氏が米国大統領経験者で初めての被告となった。4日に行われた裁判でニューヨーク地検が問題としたのは、2016年の大統領選前に行ったとされる、選挙に都合の悪い事業記録の改ざんだ。その中には、当時不倫していたポルノ女優や「プレイボーイ」誌の元モデルへの口止料などが含まれていたという。
 2021年1月6日の連邦議事堂襲撃事件に関する罪を問われるより、問題は軽く見えるかもしれない。だが、因果関係が直接見えない襲撃事件より、こちらの方がより具体的に罪の所在を追いやすく、訴状の数も34件と多い。これら全てを無罪とすることは容易ではなさそうだ。
 裁判が来年の米国大統領選で同氏に不利な影響を与えるかは、はっきりとはわからない。今回の起訴に関しても、「起訴されたことで共和党代表争いで有利になった」とする世論調査も存在するからだ。
 だが重要なのは、仮に共和党の代表になれたとして、民主党候補との対決に勝てるかどうかだ。もし先の件で有罪になれば、どちらの候補に投票するかで迷っている浮動票は民主党候補に流れやすくなる。ましてや今回、「ポルノ女優との交際」という問題が加わっていることから、女性票の獲得が苦しくなるのは必至だ。
 民主党からすれば、拒絶率の上昇が避けられないトランプ氏より、一般知名度が低い他の候補で来られる方がやりにくいのではないだろうか。
 トランプ氏の裁判と米国大統領選の結果は、ブラジルの2026年大統領選に影響を与えるとコラム子は見ている。ボルソナロ氏が次の大統領選に出馬するかはわからないが、もしトランプ氏が裁判の存在にもかかわらず、大統領選に勝利するようなことがあれば、ボルソナロ氏には大きな追い風が吹くことになるからだ。
 といっても、ボルソナロ氏が大統領候補になれるかどうかは怪しい。同氏には現在、16件にのぼる昨年の大統領選の選挙違反の訴えがあり、サウジアラビアからの贈答品違法授受問題や、1月8日の三権中枢施設襲撃事件の問責可能性も残っている。
 次期ブラジル大統領選で、ルーラ氏が再選を狙いにくるか、あるいは労働者党(PT)が後継者を出馬させるかは現段階ではわからない。ただ、PT側は「ボルソナロ氏が出てきた方が対抗馬としてやりやすい」と考えていると報じられている。(陽)

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