県連ふるさと巡り南大河州編=誕生と終幕、南伯に新胎動=(3)=愛歌の思い語るジョアンさん

歓迎会での集合写真

 ふるさと巡り一行はサントアンジェロ市から、現地日本人会により行われる歓迎会と交流会に参加するため、世界民族都市の称号を持つイジュイ市に移動。本連載冒頭で紹介した感動的シーンが展開された歓迎会に向かった。歓迎会はイジュイ民族連合(UETI)施設で行われ、日本舞踊団「愛歌(あいか)」を始め、現地の民族舞踊団体による演技が盛大に披露された。
 歓迎会後、一行は現地日本人会との交流会場となるレストランへ移動し、日本文化地域協会「サクラ」(以下、サクラ協会)や愛歌メンバーらと交流した。
 一行は歓迎会の興奮が冷めやらず、愛歌メンバーの一人一人をテーブルに引っ張り、目を輝かせながら歓迎会の感想を熱く語る様子があちこちで見られた。
 歓迎会で流暢な日本語で挨拶をした愛歌リーダー、ジョアン・リバスさん(21歳)は人当たりのいい性格もあって各テーブルに引っ張りだこ。一行と笑顔で親睦を深めていた。
 ジョアンさんはアニメなどを通じて日本語に興味を抱いた。最初は同市に日本語教師がいなかったためオンラインで学び始めた。そしてSNSで日本人を探したり、ゲーム上で知り合った人達と会話をしながら実践的な日本語を身に着けた。
 ジョアンさんは愛歌の立ち上げを知り、創立1カ月後の2018年8月に入会を決意。入会時点では日本の伝統文化に強い関心があったわけではなかったが、「文化を知ることより深い言語学習はない」と思い、入会した。
 愛歌での活動を通じて次第に伝統文化や伝統芸能への関心が高まっていった。「伝統の奥には哲学があり、個人の生き方に大きな影響を与えられました。今では自分とは切っても切り離せない関係です」と語る。

 愛歌で使用している太鼓は2019年からコロナ禍中まで活動をしていたグループ「イキガイ」が市の協力でサンパウロ州タウバテ市の「海藤太鼓」から購入したもの。昨年の7月にグループ愛歌が太鼓を受け継ぎ、舞踊だけでなく太鼓の演奏も始めた。
 太鼓の指導をする人が同市にいなかったため、インターネット情報を参考にジョアンさんは一人で練習を重ねた。家でもベッドを叩きながらずっと練習していた。愛歌が初めてサンパウロ市の県連日本祭りに出場した際、他グループとの演奏技術の差を目の当たりにした。「普通は落ち込むかもしれませんが、多くの学びを得られたので、どうやって愛歌に活かそうかと励みになりました」という。
 さらに「今後は篠笛や三味線、チャッパなど色々な楽器を揃えてバリエーションを豊かにしたい」と語った。
 ジョアンさんは愛歌の今後の方針として、イジュイ市をはじめ、ブラジル全国で日本文化の普及活動を行いたいと話す。既に今年はブラジリアでの舞踊披露予定があり、目標に向かって着実に前進していると語った。
 また、活動はブラジル国内だけにとどまらず、「富士山や沖縄の肝高(きむたか)の城など、日本の伝統に触れながら、日本各地でも披露を行いたい」と力強く話した。
 交流会には、歓迎会で舞扇子と舞傘による華麗な踊りで一行を唖然とさせたルカス・ボルゴさんとハケル・リバスさんも参加した。2人は日本舞踊に対する思いを語り始めた。(続く、仲村渠アンドレ記者)

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