spot_img

州立校襲撃事件に思う=互いの心を感じあえる社会を

亡くなった教師を顕彰する生徒達(Fernando Frazao/Agencia Brasil)

 28日に起きた聖市西部の州立校襲撃事件の被害者は死者1人、負傷者4人と報じられたが、ショック症状で病院に運ばれた女子生徒がいたことでもわかるように、事件が与えたショックや傷は傍で考える以上に大きい。
 しかも、犯行に及んだ男子生徒は13歳にも関わらず、2019年にスザノ市で起きた学校襲撃事件などを参考に、2年前から集団殺人事件を起こして自殺する計画を立てていた。銃が手に入らず刃物を使い、枕を使って人を刺す練習をしていたことなどを知り、息をのんだ。髑髏の覆面を使ったことも、スザノ市の事件と同じだ。
 27日付G1サイトなどは、ブラジルでは2002年以降、少なくとも23件の学校襲撃事件が起きているというカンピーナス大学の調査結果を報じている。
 今回の事件では、男子生徒がいじめに遭っていたことや3月に転校してきたばかりであること、事件直前の喧嘩では級友に侮蔑され、人種差別的な発言を行ったことなどが報じられている。
 本人は警察で、両親を前に、何年も前から悲しみを感じていたことや、2年前からは自分が感じた苦しみの全てを終わらせために復讐を考え始めたことなどを語ったという。
 いじめや人種差別はブラジルでも長年の問題だ。テレビなどの報道でインスピレーションを得た少年が、2年間も殺意を抱き続け、犯行に及んだことには、社会の歪みや孤立化、対話の欠如、感情を抑制できず切れてしまうことの怖さなどを感じる。
 伝えたいことの半分しか言えず、誰も自分を理解してくれないと感じている人、いつかは分かり合えると思いながらも時が経ち、死別によってその機会を逸してしまった人、小さな諍いから誤解が生じ、仲違いしてしまったことのある人などは大勢いると思う。コラム子の息子が成人後、10歳前で転校した時に感じた寂しさなどを話してくれた時、やるせない思いに駆られたことを思い出す。
 多くの生徒から慕われていた教師が亡くなり、生徒らは心に大きな傷を受けた。心の傷を癒すため、自らも怪我をしている教師や同級生が励まし合っている。一つ一つの報道に触れる度、犯行を行った少年の心からも種々の呪縛が解かれるようにと願わされる。
 コラム子は事件後、息子と「他者を思いやる心や自分を信じる心、忍耐心が薄れているのだろうか?」などと話し合った。互いが心を寄せ合い、相手の思いを感じあえる社会を望みたい。(み)

最新記事