リオ・グランデ・ド・ノルテ州=犯罪組織が攻撃拡大=治安部隊の到着後も=首領移動への報復か

国家治安部隊(Fatima Bezerra/twitter)
国家治安部隊(Fatima Bezerra/twitter)

 【既報関連】13日夜から続いている、リオ・グランデ・ド・ノルテ州での犯罪組織による襲撃は国家治安部隊が到着した後も止むことがなく、被害が拡大。襲撃を受けた市の数は倍以上に増え、逮捕者も激増中だ。 17日付G1サイト(1)などが報じている。
 最初の襲撃は13日夜から14日未明に発生し、リオ・グランデ・ド・ノルテ州都ナタルをはじめ19市にわたって、車の焼き討ちや公共施設の攻撃などが相次いだ。
 州知事の要請を受けたフラヴィオ・ジノ法相(ブラジル社会党・PSB)は、14日の内に国家治安部隊の派遣を承認し、解決にあたろうとしていた。
 だが、100人以上に上る治安部隊が到着しても、犯罪組織による攻撃は止むことがなかった。15日夜から16日の午前6時30分にかけての数字を見ると、19市だった攻撃対象市は2倍の38市に膨らみ、その間の逮捕者は67人に。銃器17丁、爆発物50個、22ガロンの燃料が押収されている。
 ナタル西部のグアラペスでは16日朝、運行中のバスに犯罪集団が接近。運転手、乗客は全て降ろされ、バスは焼き討ちにあった。こうしたことから、ナタル大都市圏の組合は16日に公共交通の走行を停止した。ナタルではゴミ焼却場やガソリン・スタンドも焼き討ち被害に遭った。
 サンゴンサロ・ド・アマランテ市では15日、スーパーマーケットに侵入した犯罪組織が放火を行うなどの被害も生じている。
 17日付G1サイトによれば、同市では襲撃4日目の16日夜から17日未明にかけても市保健局の医薬品保管庫などが放火され、医薬品だけで1千万レアルの被害が出た。
 今回の襲撃事件には二つの犯罪集団が関係しているようだ。一つはシンジカット・ド・クリーメ、もう一つは州都第一コマンド(PCC)だ。この両者は、欧州からのコカイン密輸のルートを巡って争うなど、普段は対立関係にあるが、現在は一時的に休戦し、手を組んで襲撃を行っているという。連邦政府は、一連の事件はシンジカット側のリーダーたちが1月に州外の刑務所に移されたことへの報復だと見ている。
 襲撃開始から4日目となる17日も警察による捜査は継続して行われ、逮捕令状30件と家宅捜査令状24件が出された。午前11時50分現在の報道によると、この日の逮捕者は17人に上り、犯罪者1人が死亡。10キロ相当のコカインも押収されている。
 この日の捜査対象となったのは、今回の襲撃の指令者とされ、既に逮捕されているジョゼ・ケンプス・ペレイラ・デ・アラウージョ(通称アリカテ)容疑者(45)のグループだ。同容疑者は監視強化のため、14日の内に同州モソローにある連邦刑務所に移されている。このグループは麻薬取引や強盗事件、この5年間で起こした治安関係者4人に対する暗殺及び暗殺未遂などで、2022年から目をつけられていた。
 17日までに襲撃を受けた市の数は少なくとも45市に拡大しており、逮捕者も72人に増えている。

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