ペトロブラス、国内企業歴代最高の収益記録=原油価格高騰で1883億レ=株主に358億レアル配当か

ペトロブラスの社屋(Fernando Frazao/Agencia Brasil)
ペトロブラスの社屋(Fernando Frazao/Agencia Brasil)

 ウクライナ危機による石油価格高騰により、ペトロブラスが2022年に1883億レアルの収益を上げたことがわかった。この数字は同公社始まって以来、さらにブラジル企業が1年で記録した最大の利益となった。1日付フォーリャ紙サイト(1)などが報じている。
 この1883億レアルという数字は、ペトロブラスが2021年に記録した利益を76・6%上回るものだ。この利益により、ペトロブラスは358億レアル以上を株主に配当しなくてはならなくなるが、同公社は65億レアルを法定準備金として留保しておきたい意向で、株主総会で討議の上、決議される。最大株主は連邦政府だ。
 ペトロブラスは昨年も収益が大きく、世界で2番目に株主配当が大きな企業となっており、それは労働者党(PT)から批判される材料の一つとなっていた。今回の利益増により、今までの配当総額は2千億レアルを超えるとみられている。
 今回の利益は、鉄鋼大手のヴァーレ社が2021年に記録した1291億レアルを超えて、ブラジルの企業が記録した歴代最大の額となった。
 さらに、今回の収益により、ペトロブラスは純負債額を538億ドルと、前年比で8・4%減らしている。
 ペトロブラスは今回の収益増大に関して「原油の市場価格が高騰したことで売上げ額が上がったことと、燃料販売の利益率の上昇、プレ・サルの共同参加契約からの利益によるもので、すでに行われた投資の払い戻しがあった」ことをあげている。
 同社は2022年に、前年比で43・1%増となる「1バレルにつき101・19ドル」の価格で原油を販売していた。燃料バスケットの平均価格は歴代の新記録となる1バレルにつき632・2レアルで販売した。これは前年比で51・9%増だった。
 この大きな収益で注目されるのが、今後のブラジルの燃料代だ。この件に関してはボルソナロ前大統領も昨年、「ペトロブラスは大きな収益を上げているのに、なぜ燃料価格を高騰させる必要があるのか」と批判。そこで商品流通サービス税(ICMS)に上限を設け、燃料に関しての社会統合基金(PIS)をゼロにすることなどで燃料価格を下げていた。
 だがルーラ政権では、州税の落ち込みが財政悪化につながると懸念され、今週に入りハダジ財相の強い意向もあり、燃料に対しての課税が復活。それに譲歩する形で、ペトロブラスも燃料価格を下げていた。
 PTは、これを機にペトロブラスに対し、為替の変動に準じた現在の燃料価格の決定基準の変更を求めることを希望している。現在の方式は2016年にテメル政権のもとで決められた。

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