政敵の秘密情報に違法アクセス=前政権の連邦税務局情報部長=その処罰に上層部から圧力

 2月27日付フォーリャ紙(1)(2)によれば、連邦税務局の検査官ジョアン・ジョゼ・タフネル氏は、ボルソナロ一族の政敵の税務秘密情報に法的正当化なしにアクセスした公務員に対して、彼が昨年、懲戒手続きを開始しようとした際、同税務局の上層部から止めるように圧力を受けたと告発していたことが、ルーラ政権になってから注目を浴びている。この件に関しフォーリャ紙は翌28日、3月1日と続報を出している。
 ボルソナロ政権発足時の連邦税務局情報部長のリカルド・フェイトーザ氏は、19年7月に当時の大統領の政敵の税務秘密データに違法アクセスしコピーしていた。
 政敵とは「ラシャジーニャ疑惑」の捜査責任者のエドゥアルド・グッセム・リオ州検事(当時)と、大統領一族と途中から決別した政治家2人、実業家パウロ・マリーニョ氏とグスタボ・ベビアーノ氏だ。
 内部文書や事件関係者の証言によると、タフネル氏は昨年、当時の連邦税務局長ジュリオ・セザール・ヴィエイラ・ゴメスとジョゼ・デ・アシス・フェラズ・ネト副局長が、フェイトーザ氏を処罰しないよう圧力をかけたと告発している。
 ルーラ政権後から新たに税務局長に就任したロビンソン・バレイリーニャス氏は、タフネル氏のこの行為を不審視し、内部捜査を行った。税務局には「タフネル氏に不作為(公務員義務を怠った)があった」との見方も出ていると報じられている。
 またタフネル氏は、バレイリーニャス現税務局長から、「2025年1月まで任期があるはずの会計検査官を辞任するよう圧力をかけられている」と不満を漏らしていた、との報告も行われている。
 タフネル氏は元々、ボルソナロ前大統領の熱心な支持者として知られていた。同氏は2018年のボルソナロ氏の大統領選のキャンペーンにサッカー・ブラジル代表のユニフォームを着て参加し、その際に大統領三男エドゥアルド下議と写った写真も拡散されている。
 22年2月にタフネル氏がパウロ・ゲデス(当時)経済相から連邦会計検査官に指名された際には、「フラヴィオ上議をラシャジーニャ疑惑から守るためでは」との報道も行われるほど、当時から疑問視されていた。
 ラシャジーニャ疑惑とは、政治家が幽霊職員を雇って、彼らの職員としての給料を払い戻させる行為だが、フラヴィオ氏がリオ州議のときに行っていた疑惑が、2018年大統領選でボルソナロ氏が当選を決めた直後から強く浮上。前政権下でのスキャンダルの中心となり続けていた。また、次男カルロス・リオ市議やボルソナロ前大統領の下議時代にもこの行為が疑われている。
 ボルソナロ政権下の前半はフラヴィオ氏の形勢が悪く、警察による捜査まで行きかかったが、「ラシャジーニャがあったとする金融活動管理審議会(Coaf)の資料を使うことは違法」とのフラヴィオ氏側の主張が裁判で認められて以降、形勢が逆転していた。

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