ロシア=ルーラが和平案を提案=BRICSなど仲介に=欧米からは強い反発も

 24日に開始1年を迎えたロシアのウクライナ侵攻に対し、ルーラ大統領(労働者党・PT)がBRICSなどの中立国が仲介する和平案を出し、それをロシアのプーチン大統領が検討していると、23日付フォーリャ紙(1)などが報じている。23日の国連総会ではウクライナ侵攻に関してロシア軍即時撤退を要求する決議案が採択されたが、ブラジルはBRICSの中で唯一賛成票を投じた。
 これはロシアのガルージン副外相が23日にロシア国営のタス通信に語ったことで明らかになった。同副外相は、BRICS間の連帯を強調しつつも、紛争の進展を考慮に入れる必要があるとし、アイデアの実行可能性についてまだ留保していると報じた。
 ルーラ大統領の提案とは、ウクライナ侵攻に関して中立を保っている国々が「平和グループ」を結成し、当事者両国に停戦を申し出るというものだ。
 この案はルーラ大統領が1月にドイツのショルツ首相、2月に米国のバイデン大統領と会談した時にも提案したが、冷たい態度で接されたと報じられている。ルーラ氏はドイツから要請があったウクライナ軍への戦車用砲弾の提供を拒否していた。
 ドイツ、米国は共に積極的にウクライナへの軍事支援を行っている。米国政府内部では、平和グループ案に対して「彼らは、国家が定める領有権を侵したのがロシアであることを認めるべき」との厳しい意見があることも報じられている。フランスのマクロン大統領も18日にブラジルやインドのウクライナ問題への態度を「西洋のそれとは相容れない」と発言している。
 マウロ・ヴィエイラ外相はフォーリャ紙に対して「話し合いでの解決をすることを強めるべく、 ブラジルはその第一段階とも言える提案を準備しているところだ」とし、「世界がその必要性を理解しているし、すぐに解決するものでないこともわかっている。だが、多くの国が加わってくることによって、話を発展させることはできる」との見通しを語った。
 ヴィエイラ外相は、来週インドのニューデリーで開催されるG20会議でこの議題に出すつもりだと語っている。そこでは、ロシア代表が中国やインドの代表と顔を合わせることになっている。
 中でも、ここのところ中国が仲介にむけて動いていることが注目されている。ウクライナのゼレンスキー大統領は23日、「中国政府との話し合いに応じたい」と発言。一方のプーチン大統領も中国の王毅外相と会談を行い、習近平国家主席との会談を進めていると報じられている。

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