ヤノマミ族=金鉱夫らが青年3人を射殺=先住民相が現地訪問中に=軍や治安部隊の派遣強化

法定アマゾンの一部(Fernando Frazao/Agencia Brasil)
法定アマゾンの一部(Fernando Frazao/Agencia Brasil)

 【既報関連】金の不法採掘の蔓延、栄養失調やマラリアによる死者急増などが報告されているロライマ州ヤノマミ族居住地で5日、ヤノマミ族の青年3人が射殺される事件が起き、現地を訪問中だった先住民相や先住民団体が懸念を表明。法務省が治安部隊の派遣強化を約束する一方、環境相は資金や資材の提供者摘発の必要も主張と5~6日付現地紙、サイトが報じた。
 不法採掘急増は国立宇宙研究所と米国南アラバマ大学の研究者が発表した、2020年の先住民居住地での不法採掘地は1985年より1217%増えた事が判明したとの報告や、近年の森林伐採量の増加でも明らかだ。
 また、人口約3万人のヤノマミ族居住地に2万人の金鉱夫が入った事で起きた川の汚染や土地の略奪、森林伐採が漁や猟、農産物の生産も困難にした事で起きた栄養失調や、不法採掘地の溜まり水などが原因のマラリア蔓延、婦女強姦による懐妊、医薬品の横流しなどが招いた窮状は一朝一夕では解決不能だ。
 1月20日に保健省が行った非常事態宣言後も、ヤノマミ族の居住地や州都の病院では栄養失調者やマラリア患者の死亡例が報告されており、金鉱夫による懐妊者30人との報告翌日の3日には具体的な捜査命令も出た。
 だが、空からの締め付け開始で金鉱夫らが脱出を図り始めた矢先に起きたのが、オモクシと呼ばれる集落の青年3人の射殺事件だ。この事件はソニア・グアジャジャラ先住民相の現地訪問中に起き、同相も上空から視察。同相はバイア州などでも起きていた先住民殺害事件に続く事件に深い懸念を示した。
 フラヴィオ・ジノ法相は6日、連警や治安部隊の増員を発表し、治安部隊100人は7日に到着する予定だと発表した。同相は、金鉱夫がヤノマミ族の居住地から脱出を図り始めた事に関し、近日中に80%の金鉱夫が同州を離れる事を期待しているとも語った。
 マリーナ・シルヴァ環境相は6日、アロイジオ・メルカダンテス氏の社会経済開発銀行(BNDES)総裁就任式に先立ち、環境省は先住民居住地での不法採掘を資金面や資材面で支援している人物や組織の解明に焦点を当てる意向だと明言。BNDESはアマゾン基金の管理を担当する機関であり、先住民や法定アマゾンの保護などとも関係が深い。

最新記事