上下議長選=リラ氏、パシェコ氏が再選=前大統領派の候補は届かず=両議長が民主主義尊重訴える

当選後演説するパシェコ上院議長(Grealdo Magela/Senado)
当選後演説するパシェコ上院議長(Grealdo Magela/Senado)

 1日、連邦議会が招集されて会期開始となり、隔年恒例の議長選挙が行われた。下院、上院共に、現職のアルトゥール・リラ下議(進歩党・PP)とロドリゴ・パシェコ上議(社会民主党・PSD)が再選を果たした。パシェコ氏に対しては、ボルソナロ前大統領派がロジェリオ・マリーニョ上議(自由党・PL)を猛烈に推したが、届かなかった。1、2日付現地紙、サイトが報じている。
 1日は議長選が行われる前に新たに下議、上議になった人たちの就任式が行われたが、議会にはこのときから物々しい雰囲気が流れていた。ボルソナロ前大統領三男エドゥアルド下議(PL)を中心とするボルソナロ派議員たちが、「フォーラ(やめろ)、ルーラ」のステッカーを体に貼って参加。彼らは上院議長選でのマリーニョ氏支持を煽っていた。
 さらに、議事堂にミシェレ前大統領夫人がかけつけ、その場の注目を集めた。彼女の目的もマリーニョ氏への投票を呼びかけることで、上議に就任したばかりのダマレス・アウヴェス元人権相(共和者・RP)がミシェレ氏に駆け寄り、抱擁する姿も話題を呼んだ。
 この日の上院議長選にかけるボルソナロ派の意気込みは、それほど強かった。彼らは1月のうちからSNS上でパシェコ氏の批判を展開。ボルソナロ政権で地域開発相を務めていたマリーニョ氏を議長に選ぶよう呼びかけていた。
 マリーニョ氏も選挙前から、「ルーラ大統領の勢いを食い止めたい」「ジウマ元大統領罷免のときからの政治的遺産を守りたい」と主張。1月8日の三権中枢施設襲撃事件に関して、ボルソナロ派の行動を批判しつつも、「彼らをネオナチ呼ばわりしても、ルーラ政権が隠れてやっていることは正当化できない」と、保守派に呼びかけるような発言を行っていた。
 マリーニョ氏にはPL、PP、RPの保守3党の他、セルジオ・モロ上議(ウニオン)や民主社会党(PSDB)、さらにルーラ政権支持政党の中から一部の造反組が票を投じたが、結果は49票対32票でパシェコ氏が初回投票で再選した。
 パシェコ議長は再選直後の演説で、「この国から有害な二極化を根絶する必要がある」「1月8日に起こったようなことは繰り返されてはならない」とし、一部で「大統領選三次投票」とも呼ばれていたボルソナロ派によるマリーニョ氏の擁立運動を間接的に批判。「対話による民主主義」の必要性を説いた。
 フォーリャ紙の報道によると、ルーラ政権はPSDやウニオンなど、保守派政治家も少なくない政党に対し、上院の役職を持ちかけるなどして寝返らないように努めたという。
 一方、下院はリラ議長が513人の下議中464票を獲得する圧倒的大差で、急進左派のシコ・アレンカール氏(社会主義自由党・PSOL、21票)やボルソナロ派のマルセル・ヴァン・ハッテン氏(ノーヴォ)を寄せ付けず、再選を果たした。
 リラ氏は当選後の演説で三権の尊重を強く訴えたが、「互いの領分での役割を」との発言が最高裁への牽制のようにとらえられる一幕もあった。

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