大麻の成分使った薬無料化=タルシジオ知事が条例を裁可=サンパウロ州

 タルシジオ・デ・フレイタス・サンパウロ州知事(RP)は1月31日、州内の統一保健システム(SUS)の医療機関での大麻の成分の一つのカナビジオールを使った薬の無料提供を保証する条例を裁可した。同日付現地サイトが報じている。
 この条例の報告官はカイオ・フランサ州議(ブラジル社会党・PSB)で、昨年12月に州議会が承認した。
 大麻の成分を使った薬は、2010年頃から子供のてんかんなどへの効果が確認され、患者の親族や医療団体を中心に合法化が叫ばれ始めた。2015年には国家衛生監督庁(ANVISA)も大麻の成分を含む薬を治療薬として輸入することを認めている。
 だが、これまでは、同種の薬の使用を裁判所が認めた場合にのみ、州政府が提供するという制限があったため、必要な患者の一部しか公的支援を得られていない。
 現在は、自閉症やパーキンソン、アルツハイマーなどでも大麻の成分が有効であることが確認されているが、患者の医療負担は1カ月あたりの平均で1500レアルと、極めて高額な治療法となっていた。
 タルシジオ知事は「法整備はまだ必要」としながらも、「一刻も早い方が良い」と判断して裁可した。
 大麻の成分を使った薬による治療は保守派の間でも反対が強い。知事本人もボルソナロ前大統領推薦の知事として知られているが、自身の甥が強い発作を伴う難病の患者であることが条例裁可を後押しさせたことを同知事も認めている。

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