はみ出し4世がアーティストに ジャニーズ事務所辞めて挑戦!カウアン・オカモト(4)「日伯股にかけたスターになる」

カウアン・オカモトさん(同氏提供)
カウアン・オカモトさん(同氏提供)

 16歳、埼玉県川口市で一人暮らしを始めたカウアンさん。当時は、引っ越し業者やコンビニ、牛丼屋などでアルバイトをしながら、ジャニーズ事務所からの仕事を待つという状態だった。
 ジャニーズから与えられるわずかなチャンスは無駄にしなかった。一つ一つの仕事で目立ち、評価を得た結果、仕事も徐々に増え始めた。ジャニーズ関係の仕事だけで一杯になった月もあり、18歳にして月収100万円を稼ぐこともあったという。
 「仕事は増え始めたけど、やはりジャニーズの仲間からもブラジル人として見られていた。浮いた気持ちだった」。どこまでも社会のはみ出し者という不快感が付きまとった。
 ジャニーズジュニアの仕事で生活ができるようになり、デビューも見えてきた。しかし「ジャニーズの恩恵で仕事をもらえているだけで、自分の力で仕事をしているわけじゃない。それは自分の成りたい『スター』じゃない」と不満も感じ始めていた。
 当時のジャニーズでは自分で作詞作曲して歌手活動をすることや、ユーチューブなどのネット上で自分の楽曲を広める活動は禁止されていた。「ジャニーさんは分かってくれたけど、事務所としてはダメ。工場で働くしかなかったはずの俺が、自分の名前を呼んでくれるファンがいてくれるようにまでなれた。その上で、さらにわがままを言っていいのか」と悩んだ。
 そして2016年、「こんなの俺じゃない。おれはジャスティン・ビーバーみたいになりたいんだ」とジャニーズ事務所を退所した。
 カウアンさんは、自身がポ語も話せることを活かし、ブラジルでも芸能活動を行うことを決意。日本とブラジル両国で活躍するスターを目指すようになった。当時のブラジルではアニッタやルアン・サンタナとなどの歌手が人気を博していた。19年12月、スポンサーの支援を受け、来伯。翌20年3月14日に、ブラジルの人気番組「プログラマ・ラウル・ジル」への出演を果たし、歌とダンスを披露した。「自分のパフォーマンスはブラジルでも通用するくらいクオリティーが高いと分かった」と手応えを得た。
 しかし、コロナ禍の影響で芸能活動は休止を余儀なくされた。その間はプロデュース業や、ボイストレーニング指導、映像監督業なども行った。
 2022年、芸能活動を再開し、立て続けに曲を制作した。同年4月に制作した「オルゴール」(https://www.youtube.com/watch?v=DUCysIo9AAI)は懐かしの母校でロケをし、学校生活を振り返りながら切ない気持ちを乗せた。7月に制作した「Melon」(https://www.youtube.com/watch?v=R4vQ7PO-SBs)はセクシーな要素を取り入れ、ブラジルの夏をイメージした大胆な楽曲に仕上げた。
 今年5月と7月には来伯を予定している。10月には3千人規模のワンマンライブをしたいという。「ライブを大成功させる。動画にも収めてSNSで拡散させるつもり。ネットの力を使い、地道に知名度を広めるつもりだ」と強調した。
 「日本とブラジルの架け橋になりたい。多くの人に感動を与え、日本、ブラジル両国で活躍するアーティストが目標。まずは日本とブラジルで音楽ランキングTOP100に入るのが第一歩」と夢を膨らませている。(終わり、松永エリケ記者)

【参考リンク】
2023年4月27日【ブラジル日報】元ジャニーズ=カウアン・オカモトが性被害告発=「現実だと思えなかった」=芸能事務所に真摯な対応求める

2023年1月31日【ブラジル日報】はみ出し4世がアーティストに ジャニーズ事務所辞めて挑戦!カウアン・オカモト(4)「日伯股にかけたスターになる」

2023年1月31日【ブラジル日報】はみ出し4世がアーティストに ジャニーズ事務所辞めて挑戦!カウアン・オカモト(3)ジャニーさん「歌っちゃおうか」

2023年1月28日【ブラジル日報】はみ出し4世がアーティストに ジャニーズ事務所辞めて挑戦!カウアン・オカモト(2)喧嘩三昧の中で心の歌と出会う

2023年1月27日【ブラジル日報】はみ出し4世がアーティストに=ジャニーズ事務所辞めて挑戦!カウアン・オカモト (1) 強い孤立感「日本人じゃない」

2020年3月12日【ニッケイ新聞】地球の反対側から世界目指す!=元ジャニーズJr.岡本カウアン=ブラジル人気番組でデビューへ

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