全国の知事が税収減に苦言=国に補填の約束履行迫る=3月頃にICMS引き上げ

27日の会議で「話し合おう」と語るルーラ大統領(Jose Cruz/Agencia Brasil)
27日の会議で「話し合おう」と語るルーラ大統領(Jose Cruz/Agencia Brasil)

 【既報関連】ルーラ政権では2度目の知事との会合が1月27日に持たれ、民主主義の重要性再確認と共に、前政権が提唱し、連邦議会も承認した商品流通サービス税(ICMS)の課税率引き下げによる税収減分補填が主要議題となったと1月26~30日付現地紙、サイトが報じた。
 民主主義の重要性確認は三権の中枢施設襲撃事件直後の緊急会議に次ぐものだが、緊急会議前から決められていた1月27日の会議でICMSの課税率引き下げに伴う税収減補填が議題に上る事は昨年から予想されていた。
 1月27日の国庫庁の発表によると、前政権は2022年の基礎的収支を2013年以来となる黒字で閉じた。これは、コロナ禍後の経済活動回復とインフレ高進による税収増によるもので、国内総生産(GDP)の0・5%に相当する540億レアルの黒字だった。基礎的収支の黒字化はゲデス経済相の就任時の約束だったが、コロナ禍による経済活動減退などで、政権最終年になって実現した。
 だが、この黒字は、予算案審議時の報告官の裁量で決まる秘密予算や選挙目的の諸政策で生じた経費や昨年中に契約した事業の支払などを今年度に繰り越したりして達成したものだ。昨年度は歳出上限法も破っており、2552億レアルに上る経費が繰り越された。
 ICMSの課税率引き下げに伴う減収補填はこのような状況下で議題に上った。この件は前日の知事フォーラムでも話し合われ、昨年だけで330億レアル超の税収減が生じた事と、前年比で5%以上の減収となった場合は国が補填という項目に従った補填を求める事が確認された。
 大統領は各州、各地域で優先すべき事業や政策のリスト提出も求めており、今回会議では損失補填と優先事業などが話し合われた。
 損失補填は各連邦自治体の負債返済分から割り引く形で行われ、損失額が月10億レアルのサンパウロ州は昨年末、損失補填分を4月までの負債返済金から差し引く事が認められているが、ルーラ氏は会議中も、胸襟を開いて話し合う事を要請した。
 会議での結論は不明だが、1月30日現在では最低12州が3月か4月からICMSの課税率を19~22%に引き上げる事を決めている。ただ、この数字では損失分の補填は不可能で、話し合いの継続が必要だ。また、引き上げによるインフレ圧力も懸念材料だ。

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