伯独首脳会談=環境対策で2億ユーロ支援=ウクライナ武器提供は拒否=EUとメルコスルの協定成立促す

ルーラ大統領とショルツ大統領 (Luara Baggi /ASCOM/MCTI)
ルーラ大統領とショルツ大統領 (Luara Baggi /ASCOM/MCTI)

 ルーラ大統領は1月30日、ブラジリアを訪れたドイツのショルツ首相と記者を交えての会談を行った。この会談では、ドイツが凍結していた環境対策の援助金拠出が再開されることが約束された。だが、ルーラ大統領は、ショルツ首相が求めたウクライナへの武器提供協力を拒否した。同日付現地紙、サイトが報じている。
 ショルツ首相はドイツ最大の左派政党ドイツ社会民主党(SPD)で長年主要政治家を務めていることもあり、ルーラ大統領とは旧知の仲として知られている。そうしたこともあり、会談はにこやかに進んだ。
 ショルツ首相はまず、ブラジルに対し、2億300万ユーロ(約11億レアル)の環境・先住民対策費の援助を行うことを確認した。
 この会見の数時間前にマリーナ・シウヴァ環境相は訪伯中のドイツのスヴェンジャ・シュルツェ経済協力開発相と会談。そこでこの援助金に関する合意を得た。これらの資金はアマゾン基金に3500万ユーロが使われるのをはじめ、森林再生や中小企業向けエネルギー効率利用基金、先住民支援などに充てられる。
 ショルツ首相は環境問題や民主主義の問題に触れ、「ブラジルと再び対話ができる状況になった」と語った。ドイツはボルソナロ前大統領の政権中、国際的に求められているアマゾンの環境対策順守を無視して森林伐採を活性化させたことに抗議し、アマゾン基金への援助を凍結した。
 マリーナ環境相は30日、アマゾン基金へのドイツからの援助金の一部は、現在社会問題となっているヤノマミ族の飢餓問題などの対策にも充てることを明らかにしている。
 その一方でルーラ大統領は、ショルツ首相から依頼された、ウクライナへの武器提供の誘いを断っている。
 ルーラ氏はその理由を、「ブラジルは長年、国際紛争に関して中立の立場を貫いてきているため」としている。
 だが、ロシアのウクライナ侵攻問題に関する両者の考えは異なっている。ショルツ氏の場合は、ロシアがウクライナの侵攻を間違いだったとして撤退することを願い、ウクライナへの武器支援を行っている。ドイツは戦車などもウクライナに送ることを決めている。
 だが、ルーラ大統領は「プーチン大統領は過ちを犯した」として、今回改めて批判した。だが、「もう一方の国も望まなければ戦争というものは起こらないのだ」とウクライナ側を揶揄した。
 ルーラ氏は以前も、ロシア側を批判しつつも、ウクライナが北大西洋条約機構(NATO)に接近する様子を指し、「戦争をしたいのか」と批判する発言を行っていた。そのため、ゼレンスキー同国大統領から、「親ロシア派」のリストに入れられたこともあった。
 ルーラ氏はまた、正式締結の先延ばし状態が続いている欧州連合(EU)とメルコスルとの貿易協定問題を解決することを望むとし、「なんとか今年の上半期のうちに」と念を押した。
 EUとメルコスルの貿易協定に関しては、2019年に一度合意したと報じられたが、EU参加国の議会でボルソナロ前大統領が環境問題を無視する姿勢が問題視され、成立が阻まれていた。

 

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