ヤノマミ族、栄養失調で死者続出=「見たこともない悲惨さ」=保健衛生上の非常事態宣言

栄養失調や食糧不足で骨と皮の子供達(Condisi-YY/Divulgação)
栄養失調や食糧不足で骨と皮の子供達(Condisi-YY/Divulgação)

 ルーラ大統領が21日、保健相や先住民相らの閣僚や国立先住民保護財団(Funai)総裁などを同伴してロライマ州を訪れ、深刻な栄養失調で子供だけで数百人が死亡するなどの惨状に直面しているヤノマミ族を視察。現状改善のための諸策が講じられ始めたと21~22日付現地紙、サイトが報じた。
 国内最大の先住民保護地を持ち、人口3万人強のヤノマミ族の窮状は、昨年末の移行作業中から議題に上がっており、16日からは保健省のスタッフが実情調査も行っている。
 ヤノマミ族の実状の一部は18、20日付現地サイトでも報じられており、保健省調査班が「ヤノマミ族はここ数年間、支援の欠如や医療へのアクセスの困難さに直面。特に、地域の子供達5千人以上が栄養失調と食糧危機にさらされている」と報告。地域の医療関係者も、先住民への医療支援などを続けるための安全性の欠如や脆弱さを訴えている。
 先住民の窮状はロライマ州の先住民審議会(CIR)が昨年4月に当時のケイロガ保健相に送った書簡でも明らかだ。CIRはヤノマミ族とイェカワナ族は「戦争下の状態」との言葉で窮状を訴え、支援を求めた。また、栄養失調やマラリアで亡くなる子供が後を絶たない事や、遠隔支援や医療施設への搬送を含む先住民への医療や保護のための国の諸機関の連携不足、ヤノマミ族への医療支援金横領などを訴えていた。
 これを受け、16日からは州都ボア・ヴィスタで先住民特別行政区(Dsei)や先住民向け医療施設(Casai)、州や市の保健局との対話や調査を行う班と、国防省の支援がないとアクセスも困難なスルクク、シテイ地区での訪問・調査班の作業が始まった。

先住民向け医療施設を訪問中のルーラ大統領や先住民相、国立先住民保護財団総裁、社会開発相、保健相(Felipe Medeiros/Amazônia Real)
先住民向け医療施設を訪問中のルーラ大統領や先住民相、国立先住民保護財団総裁、社会開発相、保健相(Felipe Medeiros/Amazônia Real)

 保健省によると、先住民居住地の作業班は17日に生後18日の子供に対応。肺炎を起こし、徒歩3時間かけてスルククの保健所に連れてこられたため、応急治療後に州都に移送したが、この間に5回の心停止が起きたという。現地で対応後、州都に送った重度の栄養失調やマラリアで苦しむ子供も20日までで8人いた。これを聞いた保健省は支援不足解消などのために非常事態を宣言し、20日付官報に掲載した。
 ルーラ大統領の現地訪問はこういった事態を受けたもので、先住民からの歓迎を受けた大統領は、「公的機関からも放置され、非人道的な状況だ」との表現で前政権の先住民政策を批判。ヤノマミ族居住地では不法な金採掘拡大などの影響で、昨年だけで5歳未満児が99人死亡。4年間では同年齢の子供少なくとも570人が水銀中毒や栄養失調、飢餓などで死んでいる。栄養失調は高齢者などでも深刻で、大統領達が会った65歳女性も子供並の体重しかなく、支えがないと立っていられない状態で、22日に亡くなっている。
 汎米保健機関(Opas)派遣のマラリア専門医で、16日に現地入りしたオズワルド・クルス財団(Fiocruz)のアンドレ・シケイラ医師は、「保健衛生上と人道上の見地からすれば、これまでに見たことがない惨状」と表現。栄養失調や気管支系の炎症、マラリアなどの患者が後を絶たないのに、医療スタッフや医療施設は不足という状況の克服は非常に困難とし、壊滅的で悲惨と分類した。
 大統領は21日、先住民特別支援と金の不法採掘撲滅を約束。保健省も医師派遣増などに向けて動き始めた。

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