ボルソナロ側近にクーデター画策容疑が浮上=昨年11月に不審行動判明=副大統領候補のブラガ・ネット氏

ブラガ・ネット氏(Marcelo Casal/Agencia Brasil)
ブラガ・ネット氏(Marcelo Casal/Agencia Brasil)

 18日、陸軍大将で、大統領選ではボルソナロ前大統領の副候補でもあったバルテル・ブラガ・ネット氏に、大統領選の選挙結果を覆すために非常事態宣言の一つである防衛状態(エスタード・デ・デフェーザ)を宣言することなどを念頭に置いた会議を開いていた疑惑が浮上した。18、19日付現地紙、サイトが報じている。
 これは18日、ボルソナロ前大統領や現在逮捕中の前法相アンデルソン・トレス容疑者の側近たちがCNNブラジルで明かしたものだ。それによると、ブラガ・ネット氏は10月30日の大統領選決選投票後、選挙結果を覆すための会議を大統領府で率いていたという。同氏は同年3月まで国防相だったが、大統領選副候補出馬のため、連邦政府は離れた状態だった。
 その会議でブラガ・ネット氏らが討議していた方策の一つは憲法142条の適用で、公の秩序や社会平和を維持または迅速に回復するための防衛状態を布告し、実質的な軍事介入を行おうとしていたという。
 エスタード・デ・デフェーザに関しては、連邦警察が10日にトレス容疑者宅の家宅捜査で押収した書類の中からその内容に類似した提案書が見つかったことが12日に報じられており、今回暴露された内容がこの提案書の出処を裏付ける可能性も出てきた。
 大統領選の後にブラガ・ネット氏に関するクーデター疑惑が浮上したのはこれが初めてではない。昨年11月18日、サイト「メトロポレス」は「ゴウピのQG(クーデターの軍本部)」と称して、大統領選後のブラガ・ネット氏の行動を怪しむ記事を掲載し、ブラガ・ネット氏が軍人の側近たちを引き連れ、ブラジリアのラルゴ・スルにあり、ボルソナロ氏が大統領選のキャンペーン本部に使っていた一軒家を連日訪れていたと報じている。
 そこには、オズマール・テラ下議やエドゥアルド・ジロン上議、マルセル・ヴァン・ハッテン下議といったボルソナロ派として知られる政治家が頻繁に招かれていたという。先の記事の記者がテラ氏に直撃取材を行うと、同氏は「(ボルソナロ氏の)自由党が行おうとしているルーラ陣営の選挙不正の訴訟の情報を聞きに来た」と答えたという。
 さらにブラガ・ネット氏は同じ11月18日、大統領官邸前でボルソナロ氏が落選したことを涙ながらに悲しんだ女性支持者に対して、「雨は降っているが、陽は昇る」「信仰を失ってはいけない。私が言えることはそれだけだ」と発言。この模様は録画されて拡散され、「何かを準備しているのか」との声もあがっていた。
 ボルソナロ氏とトレス氏の側近らはCNNブラジルに対し、エスタード・デ・デフェーザの適用は軍にも提案されたが、陸・海・空軍はいずれも選挙結果を覆すという考えを好まず、話はそのまま流れたとも語っている。
 なお、エスタード・デ・デフェーザの適用期間は最大30日で、適用地域、適用条件や制限などを明確に定める必要があるという点がエスタード・デ・シッチオとは異なる。

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