反中絶憲章の署名取り消す=パズエロ時代の省令も破棄

ニジア保健相(Marcelo Camargo/Agencia Brasil)
ニジア保健相(Marcelo Camargo/Agencia Brasil)

 外務省は17日、ルーラ政権が、ボルソナロ政権時に署名していた中絶反対の憲章を取り消し、代わりに女性の権利を守る憲章に署名する意向であることを発表した。17、18日付伯字紙、サイトが報じている。
 今回ルーラ政権が取り消したのは、2020年にスイスのジュネーブで調印した反中絶の国際憲章で、ボルソナロ政権の他、トランプ政権下の米国、エジプト、ハンガリー、インドネシア、ウガンダなど30カ国が署名していた。
 合意取り消しに関する声明は外務省と保健省、女性省、人権省、市民省が署名したもので、「この憲章は性や出産、家族の権利に関する理解が限定されており、統一保健システム(SUS)をはじめとした国の保健計画を脅かしかねない」とした上、基本的な人権と自由に関するブラジルの法令やブラジルが同意した国際合意の遂行のため必要な変更としている。
 ジュネーブ憲章では「強姦を理由に中絶を行う場合、警察組織が強姦を行われた証拠を調べて認証を出すまで手術を施すことができない」とするなど、中絶そのものをかなり困難にしていた。
 ルーラ政権はその代わり、チリのサンチアゴとパナマで結ばれた女性の権利に関する憲章に署名する意向を示した。政府によると、この両憲章は女性の性や出産に関する権利や健康面をより重視しており、社会や経済における性的平等なども訴えているという。
 2020年調印のサンチアゴ憲章は新型コロナのパンデミック下における性の役割に対応したものとなっており、22年調印のパナマ憲章は女性の社会や経済進出のための新たな架け橋となることを約束している。
 この前日の16日にはニジア・トリンダーデ保健相が、エドゥアルド・パズエロ保健相が2020年9月に出した中絶に関する省令を破棄している。その条例では、強姦を理由とする中絶は、警察が実際に強姦が行われたかを捜査して法的判断で強姦が認められた場合に限るとしていた。新たな省令では中絶の判断はSUSが行うことを認めている。

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