林外務大臣=「中南米日系社会連携推進室設置する」=サンパウロ市日系団体代表の前で発表

山口県人会会員に歓迎される林大臣

 ブラジルを訪れた林芳正外務大臣は8日、日系団体による歓迎式典に出席するためサンパウロ市を訪れた。林外務大臣は歓迎式典で「中南米日系社会連携推進室の設置を決定した」と報告し、「ブラジルは日本と非常に深い関係を持ち、重要な補完的関係」であるから、「日本政府としても、この日系ネットワークや交流事業などをサポートさせていただきたい」との意向を述べた。

 サンパウロ市にあるブラジル日本文化福祉協会の日本移民史料館展示室で行われた歓迎式典には、日系団体代表者ら約25人が出席。挨拶に立った林外務大臣は、中南米訪問の最大の目的の一つとして「各国の日系社会との結合」を挙げ、日系社会と日本の関係を強化するために外務省に「中南米日系社会連携推進室」を設置することを決定したと発表した。
 「中南米日系社会連携推進室」の詳細について在サンパウロ総領事館に9日昼過ぎに問い合わせをしたが、「本省に聞いてみる」との返答だった。詳しい返答があり次第、別報する。
 林外相は8日、日系団体代表者を前に挨拶し、ブラジルでは日系6世が育ちつつある中、今後若者や女性の益々の活躍が重要になるとし、「日本政府としても若い世代のさらなる活躍を期待しておりまして、招聘プログラムや奨学金等によって次世代を担うより多くの日系人の方々に日本を知っていただいて、日本への理解を深めてもらうなどして、日系社会のネットワーク作りを支援していく所存でございます」と連携強化の意向を示した。
 その他、「昨年末に日本政府がブラジルをはじめとする中南米の日系団体や日系農業団体へ、約2500万レアル相当(約6億2千万円)の活動協力を行っている」とも紹介した。
 歓迎会前には同市イビラプエラ公園内の開拓先没者慰霊碑を訪れ、献花を行った。ブラジル日本都道府県人会連合会の市川利雄会長や谷口ジョゼ副会長などから慰霊碑の由来などの説明を受けた。さらに文協の石川レナト会長、山下譲二評議会会長、桑名良輔在サンパウロ総領事らと日本館を視察した。

 東洋街にあるブラジル山口県人会も訪問し、伊藤紀美子会長らが日ブラジル旗を振って出迎えた。林外務大臣は「1月の頭から日本を離れていますが、今日山口県へ帰った気がした」とホッとした表情を浮かべ、「5世、6世と続いていく中で会を保っていただいて、日系としてのアイデンティティを守っていただきたい」と挨拶。伊藤会長が会館内を案内した。
 文協ビル内のブラジル日本移民史料館では山下リジア史料館運営委員長が案内。その後、同9階にて歓迎式典を行った。
 林外務大臣は今回すでにメキシコ、エクアドルを訪れており、次は首都ブラジリア、アルゼンチン、米国を訪れる予定。

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