ルーラが首都治安介入宣言=三権の長が連名で暴動に批判声明=軍施設前キャンプに解散命令

連邦議会を占拠した前大統領支持者達(Marcelo Camargo/Agência Brasil)
連邦議会を占拠した前大統領支持者達(Marcelo Camargo/Agência Brasil)

 8日に起きたボルソナロ前大統領支持者らによる暴挙は国内外に衝撃を与えたが、ルーラ大統領は9日、予定通り、大統領府(プラナルト宮)での執務を始め、反民主主義的な暴挙によって新政権が揺らぐ事はない事を示すと共に治安対策を強化。各州からも軍警らが到着と8、9日付現地サイトが報じた。
 ルーラ大統領は事件発生時、年末年始の水害で非常事態を宣言中のサンパウロ州アララクアラ市を訪問中だったが、報告を受けると、直ちに連邦直轄区政府に対する治安面での連邦政府介入を宣言。夜には首都に戻り、現場を視察した上、ローザ・ウエベル最高裁長官らとの会合の予定も組んだ。
 9日朝は政権閣僚と最高裁判事、議会関係者の会合が開かれ、三権の長が連名で民主主義攻撃を批判。9日午後は知事達との会合も開かれた。知事達は8日にビデオ会合を開いて軍警派遣などを検討しており、バイア州軍警は9日朝、首都に到着。セアラー、ピアウイなどの州の軍警も9日朝、派遣された。

8日の出来事について話し合うために開かれた三権の長達の会議(9日、Marcelo Camargo/Agência Brasil
8日の出来事について話し合うために開かれた三権の長達の会議(9日、Marcelo Camargo/Agência Brasil

 また、24時間以内の軍施設前でのキャンプ解散命令は軍や軍警が敢行中で、首都の陸軍本部前では命令に従わなかった人達1200人以上が連邦警察に連行された。撤収作業は全国各地で行われており、首都での暴挙に参加した人物を逮捕するための準備を進めている州もある。
 8日の暴挙の被害は甚大で、大統領府や連邦議会、最高裁では正面壁面を含む無数のガラスが割られた上、大量の座席や絵画、歴代大統領や議長の写真、執務室や受付などの備品類も壊された。ジャンジャ夫人の執務室も荒らされたが、ルーラ大統領の執務室は警備が厳重で侵入できず、破壊行為を免れた。
 パウロ・ピメンタ大統領府社会通信局長官は9日、建物内では放火や大小便のたれ流しも起きており、遺留物や防犯カメラの映像の解析、DNA鑑定などで暴挙に加担した人物を特定、逮捕する方針である事を示した。
 また、8日の暴挙は予告されていたにも関わらず、対策を採らなかったとして解任された連邦直轄区保安局長(アンデルソン・トレス前法相)に対し、総弁護庁が逮捕を要請。連邦議会は近日中に緊急会議を開き、政府介入の是非を検討する。8日の暴挙は起きないと保証していたイバネイス・ロシャ連邦直轄区知事の停職中はセリナ・レオン副知事が代行。治安面の指揮はリカルド・カペリ法務副大臣が取る予定だ。

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