聖南西=「400万レ基金に増資を」=定例会議で天野さんが提案

左から古川シルビオ会長、運天昭子エリーザUCES財務担当理事、聖南西基金の創設立案者の天野鉄人さん、山村敏明前会長の妻・純子さん

 聖南西文化体育連盟(UCES、古川シルビオ会長)は4日午前9時、傘下25団体の代表ら約50人を集め、レジストロ市のレジストロ日伯文化協会会館で定例会議を行った。「聖南西250万レアル基金」発案者の天野鉄人氏が「400万レアル基金」への増資計画提案を行い、UCESは今後協議を進めるとした。

 「聖南西250万レアル基金」は現在、243万2491・00レまで積みあがっている。天野氏は「基金が400万レアルになるまで取り崩さないことを約束してくだされば、12月20日までに、同基金に対し、1万5千レアル寄付させていただきます」と提案。重ねて23年に1万6千レ、24年に1万7千レ、25年に1万8千レ、26年に1万9千レ寄付し、27年12月20日には400万レに達するだけの金額を寄付すると約束した。
 定例会議では2022年度事業報告、23年度事業計画、決算報告、定款改正案審議、故山村敏明前会長の妻・純子さんと運天昭子エリーザ財務担当理事への感謝状贈呈も行われた。
 2022年度の収支決算は、21年度収支残高が1万3162・92レ、22年度収支残高が3万0904・48レと報告された。
 山村純子さんと運天理事へは感謝状と共に胡蝶蘭が天野氏とUCESから贈られた。運天理事は12年間UCES財務担当理事を務めた。

■聖南西基金の歴史

 聖南西基金は、09年9月に開かれたUCES定例会議で、山村敏明会長(当時)が「今後毎年7千レアルの赤字が出る。この窮状を打開する名案はないか」と呼び掛けたところに、天野氏が「向こう3年間、毎年1万レアル寄付する」と申し出たところから始まった。
 11年12月の定例会議で天野氏が「100万レアル基金」創設を提案。UCESが拠出した積立金の2倍の金額を天野さんが寄付し、外部の個人、企業から集めた分に対しては同額を寄付するという内容だ。天野さんは「この支援を3年間続け、100万レアル基金を創設する」とした。
 15年10月、「100万レアル基金」は当初の予定より10カ月遅れたものの達成した。出資内訳はUCESが18万レ、天野氏76万レ、利子6万レだった。
 「100万レアル基金」達成を受け、天野氏が同基金を元手に10年間かけて「300万レアル基金」への増資計画を提案した。「300万レアル基金」は、100万レアルを指定銀行に10年間据え置き、天野氏が最初の5年間に毎年1万レアルを寄付し、6年目以降は毎年1万5千レを寄付して300万レを目指す計画だ。
 20年6月、コロナ禍が発生すると、日系団体は資金集めのイベントが開催できず、会員の会費収入も滞りがちとなり、日本語学校の諸経費や施設従業員への給料支払い停止も相次いだ。
 そうした中でUCESは、傘下18団体へ「300万レアル基金」用資金から29万4750・00レを配当として還元し、活動資金に一時転用することで未曽有の難局を乗り越えた。山村会長(当時)は「だれも予測していなかったコロナ禍を無事に生き残ることができたのは基金があったから。これも提案者である天野鉄人さんのおかげ。本当にありがたい」と感謝した。
 配当を支払ったことで、「300万レアル基金」用資金は、残り約170万レとなり、基金目標額も250万レへと切り下げられた。

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