モラエス選挙高裁長官、PLの票取消要求を却下=2290万レの重い罰金科す=ボルソナロの次の動きは?

モラエス長官(Antonio Augusto/Agencia Brasil)
モラエス長官(Antonio Augusto/Agencia Brasil)

 選挙高裁のアレッシャンドレ・デ・モラエス長官は23日夜、大統領選決選投票での多数の投票を無効にするよう訴えたボルソナロ大統領の所属する自由党(自由党・PL)に対し、証拠もなく選挙結果を不当に疑ったとして約2290万レアルの罰金を課した。23、24日付現地紙、サイトが報じている。
 同判断はモラエス判事が22日に行った命令をPLが履行しなかったために下された。
 PLは22日、大統領選で使った「古い機種の電子投票機には番号が割り振られておらず、全体の59%にあたる27万9千機分の集計を無効化すべき」と主張。この主張が通れば、ボルソナロ氏が107・8万票の差で勝利するという。
 モラエス長官はこれに対し、「決選投票で使った投票機は一次投票のものと同じだ。異常があると言うのなら一次での異常の証拠も合わせて24時間以内に提出するように」との命令を出した。
 これに対し、ヴァルデマール・コスタPL党首は23日、「あくまでも決選投票に問題があるのであり、一次投票には問題はない」として、無効化を繰り返し求めた。
 モラエス長官はPL側の対応に対し、「意図的に選挙システムに対する虚偽の攻撃を行った」と判断。PLの訴えを却下した上、大統領選でPLと連立(コリガソン)を組んだ進歩党(PP)や共和者(RP)といった政党全体に、約2290万レアルの罰金を科した。この罰金を支払うまで、これらの政党に対する政党支援金は凍結される。
 PLの訴えは、選挙高裁や連邦会計検査院(TCU)、ブラジル弁護士会、国防省などが「異常なし」との報告を行った後に行われており、多くのメディアから矛盾点も指摘されていた。
 モラエス判事の命令は23日夜のブラジルの話題を独占した。選挙の公正さを支持する人たちは、モラエス長官が出した2290万と言う数字にPLの政党番号である「22」が含まれていることに強い関心を示した。その一方で、道路封鎖などの抗議運動を支持する人たちの間では、軍事介入を求める過激な声も見受けられた。
 この命令に対し、PLの弁護士は「予想された反応」として控訴の構えを見せている。連帯責任を取らされたRPも同様の反応を示している。
 UOLサイトなどの報道によると、今回のPLの異議申し立てはボルソナロ氏自身が主導したとされている。それによると、ボルソナロ氏は15日にヴァルデマール氏と会い、票の無効化を要請するよう圧力をかけたという。PLが契約した企業インスティトゥト・ヴォット・レガル社がまとめた報告書は12月に結果が出るはずだったが、予定を早めて提出させたという。
 また、ヴァルデマール氏も21日に最高裁のジウマール・メンデス判事と会った際に、「勝ち目はないが、ボルソナロ氏を喜ばせたいから」と語っていたとの報道もある。
 PLが命じた調査費は政党支援金から払われた可能性があり、連邦検察庁がTCUに今回の申し立てのための経費や出処を調べるよう要請している。

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