街角ちょっと見=15年かけポ語版完成=井原西鶴著『男色大鑑』

『Contos Homoeróticos de Samurais』を持つジョゼさん

 ブラジルの出版社「Degustar」が、江戸時代の作家井原西鶴の著した『男色大鑑』のポルトガル語翻訳版『Contos Homoeróticos de Samurais』を出版し、10月1日に同書出版記念会をサンパウロ市イジエノポリス区の本屋「Livraria da Vila」にて行った。
 井原西鶴(1642~1693年)は、江戸時代に活躍した作家で、代表作の『好色一代男』は前期近世文学の主要文芸形式である「浮世草子」を形作った。『男色大鑑』は1687年に書かれ、武家社会と町人社会における男色文化を描いている。
 出版記念会に登場した同社経営者の1人、ジョゼ・マノエル・ベルトロッテさん(74歳)は、人生と美の儚さを描く井原西鶴の表現力を絶賛。同書では当時の侍が持っていた愛情に関する考え方が非常によく表現されていると話し、「本からは侍が男らしさと共に、道徳的で繊細な感性の持ち主であることがわかります」と語った。
 同書は日本語からポルトガル語へ直訳できる人がいなかったため、英語やフランス語などの訳本から翻訳を行い、完成までに15年がかかった。翻訳版の挿絵は原作のものがそのまま使用されている。

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