ルーラ新政権、移行作業を本格的に開始=アルキミンが正式指名受ける=「移行PEC」に着手必要

3日の新政権スタッフ(Marcelo Camargo/Agencia Brasil)
3日の新政権スタッフ(Marcelo Camargo/Agencia Brasil)

 ボルソナロ政権からルーラ次期政権への移行作業が正式にはじまった。作業のまとめ役で次期副大統領のジェラルド・アルキミン氏は3日、シロ・ノゲイラ官房長官ら、現政権の中心メンバーと会合を行い、4日朝、ノゲイラ氏から正式に移行作業の責任者として指名・承認を受けた。3、4日付現地紙、サイトが報じている。
 ルーラ氏から移行作業のまとめ役に指名されたアルキミン氏は3日、ブラジリアのプラナウト宮を訪れ、ノゲイラ官房長官ら、ボルソナロ政権のスタッフと引き継ぎのための具体的な会合を行った。
 この会合には労働者党党首のグレイシ・ホフマン氏や、ルーラ、ジウマ両政権で重要閣僚だったアロイージオ・メルカダンテ氏も参加した。この二人も移行作業の主要スタッフと目されている。
 移行作業に携わる次期政権側関係者(最大50人)は特別政府移行職(CETG)という公職に就き、現政権のスタッフとの間で文書やデータの引き継ぎ、来年度予算案の見直しなどを行う。CETGはルーラ氏の選任後、現政権官房長官の指名と承認を受けなければならない。現段階では、12人の政治家、38人の専門家による作業班が立ち上げられる見込みだ。
 テーマ毎の取りまとめ役となる政治家は、PTなど、大統領選の際にルーラ氏を一次投票の時から支持した左派・中道政党中心に選ばれる見込み。アウキミン氏によれば、決選投票でルーラ氏を支持した大統領候補のシロ・ゴメス氏の民主労働党(PDT)やシモーネ・テベテ氏の民主運動(MDB)からも選ばれるという。
 アルキミン氏らは大統領府での会合の前に連邦議会に立ち寄り、2023年の予算案について話し合った。そこには23年予算案報告官のマルセロ・カストロ下議(民主運動・MDB)の他、前ピアウイ州知事で次期上議のウェリントン・ジアス氏(PT)が参加している。
 CETGは連邦議会に対し、憲法補正案「移行PEC」の提案を行う必要がある。これは、社会保障給付金「アウシリオ・ブラジル」の支給額を600レアルに保ち、最低賃金をインフレ率以上に引き上げることなどを可能にするためだ。現在の予算案通り歳出上限を守るなら、アウシリオの支給額維持や最賃の実質的な引き上げは不可能だ。
 アウシリオ・ブラジルはルーラ政権の「ボウサ・ファミリア」をボルソナロ大統領が選挙対策のために改名したもので、200レアル未満だった支給額を400レアル、600レアルへと引き上げていった。だが、600レアルの支払いは今年末までしか約束されておらず、23年以降は400レアルに戻す必要がある。次期政権は元の名前に戻すが、支給額は維持することを公約しており、財源の確保が必須となっている。
 他方、次期政権のスタッフは別名「秘密予算」こと報告官割当金に関する話し合いは避けている。ルーラ氏は同予算を「賄賂と同じだ」と批判しており、廃止を視野に入れているとも報じられていたが、議会多数派の中道勢力セントロン議員らが強く反対。セントロン側は「移行PEC」承認と引き換えに同予算維持を求めている。

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