トラックストの解除進む=燃料、食料などの供給は?=大統領は発生3日後に停止を要請

大統領が幹線道路の封鎖を解くよう求めたと報じる2日付アジェンシア・ブラジルの記事の一部
大統領が幹線道路の封鎖を解くよう求めたと報じる2日付アジェンシア・ブラジルの記事の一部

 【既報関連】大統領選の結果判明直後に起きたボルソナロ氏支持者のトラック運転手のストは、3日昼現在も7州73カ所で全面、部分封鎖が続いている。当局は罰金徴収や逮捕も伴う形で解除作業を進めていると3日付現地サイトが報じた。
 10月30日夜からのストはトラック運転手の組合も違憲としている上、連邦道路警察や軍警の一部がストを支援した形跡もあり、連邦検察庁や州検察局が捜査を始めている。
 国道や州道の封鎖は全国に及んだが、10月31日のアレシャンドレ・デ・モラエス最高裁判事の命令や知事達の命令により、2日夜には、631カ所の封鎖が解かれ、同時点での全面・部分封鎖は南部3州、マット・グロッソ州、ロンドニア州、パラー州など、15州150カ所と報告された。
 ストの現場には軍警などが派遣され、解除作業が続いているが、一部の現場では車の前に子供を立たせるという信じ難い行為も見られた。また、暴行された車が加速し、子供2人を含む17人が重軽傷を負うという事件なども起きた。
 道路封鎖や通行妨害の影響は、食料品や医薬品、ディーゼル油やガソリンなどの燃料の不足を引き起こし、人工透析が受けられなくなった人や難病で必要な特殊な栄養食品を受け取れなくなった人、迂回を要する救急車など、命に関わる問題も発生させた。予防接種ワクチンやワクチン生産用の卵の不着なども起きた。

3日昼現在も7州73カ所で部分封鎖が続いていると報じる3日付アジェンシア・ブラジルの記事の一部
3日昼現在も7州73カ所で部分封鎖が続いていると報じる3日付アジェンシア・ブラジルの記事の一部

 また、乗客や職員、乗務員が空港まで辿り着けず、飛行機の欠航や遅発も発生。予約便がキャンセルされた乗客が空港やホテルに溢れた。キャンセルは長距離バスでも相次いだが、リオ~サンパウロ市間のバスは2日から運行を再開。航空機の燃料供給問題も含めた正常化努力が続いている。
 ストを起こしたのが大統領支持者であったため、1日の声明で大統領が明確な形の敗北宣言やスト解除要請を行わなかった事は強い批判を呼んだ。大統領が2日により明確なスト解除要請を発したため、3日中には全ての封鎖が解除される見込みだ。
 ただ、燃料不足で非常事態を宣言したり、バス運行を日曜並みにした市もあり、物資の流通・供給の正常化には数日を要しそうだ。

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 今回の幹線道路封鎖デモに関し、 アトレチコ・ミネイロの応援団が国道381号線、コリンチャンス応援団がヅットラ街道の封鎖を解除させるなど、サッカー応援団体の解除活動での活躍に「道路警察より貢献しているのでは」との声も。普段の強面ぶりがこういう場面で役に立ったか。
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 大統領選が終わった直後から行われているボルソナロ大統領支持者らによるデモは3日もまだ続いているが、幹線道路封鎖カ所はかなり減った。今回に関してはルーラ氏側に不正があったという具体的な証拠もなく、「選挙結果が気に入らない」というだけで物資の流通や交通を乱した上に、軍事政権復古をも求める非民主主義的な態度が問題視されている。そんな中、かつてのF1の英雄ネルソン・ピケが今回のデモに参加し、「ルーラ氏に死を」とまで語ったことや、ナチス崇拝を思わせる行動をとったグループが出たことが問題視され、捜査も検討されている。支持者にこのような態度をとらせるボルソナロ氏にも責任があるのでは。

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