開会式=高良ブラジル会長「無上の喜び」=100県人会を代表して挨拶=第7回世界のウチナーンチュ大会

「ウチナーネットワークはかけがえのない財産」と語る玉城デニー県知事

 【那覇発=深沢正雪記者】世界中から県系人が集結する「第7回世界のウチナーンチュ大会」ではキャッチフレーズ「うちなーのシンカ(仲間)、今こそ結ぶ世界の輪」を前面に打ち出した開会式が、那覇市の沖縄セルラーパーク那覇で10月31日に開催され、866人(主催者発表)が出席した。本来はセルラースタジアム(野球場)で1万人規模の大イベントになる予定だった。雨天のために急きょ変更となり招待客のみとなった。ブラジル沖縄県人会の高良律正会長は、海外13カ国26都市から参加した約1600人を代表して壇上から日本語で挨拶した。式典後、本紙取材に対し、「初めての沖縄を県人会会長として訪れることができたことを神に感謝したい」と興奮冷めやらぬ様子だった。

開会式であいさつする高良律正ブラジル沖縄県人会会長

 開会式は、沖縄出身の男女3人組グループ「グリーンノートコースター」による大会テーマソング「歌らな踊らな」の生ライブで幕を切った。《会えない時間を 楽しみにかえて ふたたび会える喜び 心に感じて 今日は皆揃(する)てぃ 歌らな踊(うどぅ)らな 三線リズムあわせて 風にのせ ずっと》という歌詞を、切ないメロディーにのせて金城美織さんが伸びやかに歌い上げた。
 歌詞には、ユイマール精神などが織り込まれ、沖縄らしく指笛や三線の音色も織り交ぜた明るい音楽に会場の雰囲気は一気に盛り上がった。
 司会は、共に県系の有名芸能人のジョン・カビラと上江洲愛。県の若手育成事業ウチナージュニアスタディ事業に参加した中高生が、順番に自分で考えたウチナーンチュの特徴を表明して高らかに開会を宣言した。
 コロナ禍の犠牲者に黙とうを捧げ、続いて実行委員会を代表して玉城デニー県知事は「世界中のウチナーンチュたちと時空を超えてこの場で再会しています。このネットワークはかけがえのない財産。この大会を沖縄県の新しい出発点に」と歓迎した。
 来賓祝辞で県系3世の米国ハワイ州のデービッド・イゲ知事は、前回大会で強く刺激を受けたことから、今回は家族にも理解してもらいたくて妻子供同伴で参加したと語り、「州を代表してアロハを送る」と親愛の情を込めて語った。
 世界に散らばる100県人会を代表してブラジルの高良津正会長が演台に立ち、「大会に参加させてもらい無上の喜び。ブラジルの県系コミュニティーと沖縄の結束が一層強固なものとなり、豊かな沖縄伝統文化を若い世代に伝えていく鍵になる事を信じています」との期待を表明した。

開会式に招待客として出席した県人会の皆さん

 第11回沖縄平和賞を受賞したひめゆり平和資料館の天間朝佳(ふてまちょうけい)館長が沖縄戦の悲劇を振り返り、「わずか90日間の戦いで20万人以上が亡くなり、その6割が沖縄県人だった。二度とその悲劇を繰り返してはならない。ロシア侵攻によりアジアでも危機感が高まっている。こんな時だからこそ、ウチナーのチムグクル(真心)を世界に広めてください」と訴えると拍手が沸き起こった。
 ゲストパフォーマンスでは昨年の東京五輪空手男子個人形で金メダルを獲得した劉衛流鳳凰会の喜友名諒さん、上村拓也さん、金城新さんが舞台で迫力いっぱいの形を披露した。

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