《ブラジル》人気黒人歌手セウ・ジョルジェ、コンサートでの差別被害告白=「マカコ(猿)」などと罵声浴びせられ

セウ・ジョルジェ(Facebook)

 国際的な歌手で俳優としても知られる黒人のセウ・ジョルジェ氏(52)が、リオ・グランデ・ド・スル州ポルト・アレグレで行われたコンサートで白人の聴衆から人種差別的な罵声を浴びせられ、社会問題となっている。19日付現地紙などが報じている。
 差別行為が起きたのは14日夜、ポルト・アレグレのスポーツ・クラブ「グレミオ・ナウチコ・ウニオン」のホールで行われた招待制のコンサート。ジョルジェ氏は、黒人差別用語として最も典型的な「マカコ(猿)」などの罵声を浴び、猿の鳴きまねをされるなど罵倒された。
 ジョルジェ氏は17日、自身のSNSに当夜の様子を報告する動画を投稿。リオ・グランデ・ド・スル州の旗を背景にしたジョルジェ氏は、「エリス・レジーナをはじめ、多くの偉大な音楽家を生み、僕自身何度も公演をやり、愛してきたこの州でこういうことが起きてしまった」と約9分に及ぶビデオで嘆いた。
 ジョルジェ氏はこの公演について、「招待された観客に黒人の姿は一人としてなかった。その場にいた黒人は従業員だけだった」と状況を語った。
 国内はもちろん、国際的にも知られたジョルジェ氏ほどの人物にもこのような黒人差別が行われたことに対し、ブラジル国内にも衝撃が走っている。ジョルジェ氏は90年代後半から人気を博し、2011年のアルバム「ムージカ・パラ・シュラスコ」が大ヒットした。国際的にも、2005年の米国映画「ライフ・アクアティック」で英国ロック歌手デビッド・ボウイが歌った曲のサンバ風カバーで有名になった。
 俳優としても、昨年の国内大ヒット作のひとつ「マリゲーラ」で、実在した伝説的都市ゲリラ、カルロス・マリゲーラを演じて高い評価を得た。
 ポルト・アレグレの市警はこの件を問題視し、捜査に乗り出す構えだ。

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