マラニョン州=SUS舞台の贈収賄を摘発=悪評高い秘密予算巡る工作

14日の捜査(Twitter)

 連邦警察がマラニョン州で14日、予算案報告官の裁量で配分できる議員割当金(秘密予算)の横流し疑惑で2人を逮捕した。秘密予算は連邦政府が与党側議員を厚遇するものとして悪評がある。14日付現地サイトが報じている。
 統一医療保健システム(SUS)のデータ改ざんで秘密予算を得ようとしていた容疑で逮捕されたのは、ロベルトとレナトのロドリゲス・デ・リマ兄弟だ。改ざんはマラニョン州内とピアウイ州内の複数の市で行われていたという。
 同兄弟は6900万レアルの請求を行っていた。裁判所は既に700万レアルの支払いを凍結させている。
 データ改ざんの一例は、人口1万1500人未満の市が2020年に指のX線写真を1万2700点以上撮ったという報告書を提出し、不当に高額な請求を出したもので、2021年のSUS上限額の引き上げも生じた。
 この他にもこの犯罪に関与したと見られる人物6人、企業4社に捜査が及んでいる。嫌疑がかけられた企業は、2019〜22年に同州の保健部門で最も高額の金を受け取っていた。
 「秘密予算」と呼ばれる報告官割当金は、連邦政府が議会で是が非でも承認させたい法案がある場合に振る舞われる切り札の印象があり、かねてから「合法的賄賂」として評判が悪かった。秘密予算はこれまでも大量のトラクター購入などが摘発されていたが、連邦議会は2021年も限度額を決める形で同予算を再承認している。
 だが、ルーラ元大統領が今年8月の大統領選候補者討論会で秘密予算を「メンサロンよりも悪い」と批判するなど、悪印象を残したままだ。メンサロンはルーラ氏の大統領の最初の任期中に起き、下院での労働者党(PT)政権への支持取り付けのために行われた贈収賄工作のことだ。
 秘密予算はボルソナロ政権に良い印象を与えるものではなかったが、決選投票前にスキャンダルが起きた形となった。

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